EUに残留か離脱かをめぐるイギリスの国民投票は、事前の見方を裏切り、離脱が決まりました。直近の世論調査では残留が離脱を上回り、過去のスコットランド独立をめぐる国民投票や総選挙の時に、的確に結果を予想していたブックメーカーのオッズも、圧倒的にEU残留を予想したにも関わらず、蓋を開けてみると明確な差で離脱が決まりました。
今回の投票結果には法的拘束力はありませんが、キャメロン首相がそれを無視するわけにもいきませんから、離脱に向けて動くことになるでしょう。しかもイギリスがこのような意思表示をしたことにより、他のEU各国にも波及していく事は十分に予想されます。既にフランスやオランダなどからも「国民投票をすべきだ。」という声が出てきており、イギリス国内でも改めてスコットランド独立に向けての声が上がり始めました。
週末の東京市場は大混乱になり、日経平均の日中の変動幅はITバブルの大天井であった2000年4月以来という大暴落になっています。ドル円も一時パニック的な円買いで99円台に突入しました。これにより、相当の追証発生が見込まれます。来週さらに一段と日経平均が急落していく可能性は十分にあります。
こうした状況に対して、G7各国が協調して対応策に乗り出すかどうかがまず注目されます。日本の場合も折から参議院選挙の最中であり、この強烈な円高・株価暴落を放置するわけにもいかないでしょうから、ここからはいつ円売り介入が実施されるか、そして次回7月末の金融政策決定会合を待たずに、日銀が臨時会合を開いて大規模な緩和策を打ち出してくるかどうかも大きな注目ポイントになります。
来週は日経平均の更なる値下がりを想定すると共に、引きつけてどのように逆張りで対処するかを見極める場面にもなるでしょう。先週末の東京セミナーで、「EU離脱となった場合、ドル円はオーバーシュートで100円を割り込み、日経平均は2月の安値1万4865円を割り込む可能性が大きい。」と予想をお話しました。週末金曜日にドル円は100円を割り込み、日経平均も2月の安値まで下げました。予想通りの展開ですが、来週はひとまず目先的に重要な場面を迎えると考えています。