このところ日米共に株価は戻り基調になっていましたが、先週末からアメリカの株価が再び崩れてきてNYダウは5日続落で2万4000ドルを一時下回ってきました。この背景にあるのはアメリカの長期金利の上昇で長短利回り差の逆転現象への懸念です。アメリカの10年国債の利回りは直近でまたぐんぐん上昇し、2月のピークを抜いて2014年1月以来の3%台に乗せて来ました。長短金利差も縮小してきており、このままで行くと本来はあってはならない利回り差の逆転が起こるのではないかという不安につながっています。
先週末の東京セミナーでもこの問題について指摘し、注意を呼びかけました。金利の上昇それ自体も圧迫要因ですが、今後の推移に十分に注意が必要です。
しかし日本株はアメリカの株安に対してはこのところ打たれ強くなっており、NYダウに連動して急落しているわけではありません。その背景にあるのは円安です。ドル円は3月に104円台で底打ちして、今週は109円台まで円安が進んでいます。
日経平均もドル円が底打ちしたのと同じタイミングで2万300円台で底打ちし、27日には2万2400円台まで上昇してきています。
今週は日経平均の5週線と13週線がゴールデンクロスしてきました。これは前回昨年9月末に2万300円台でゴールデンクロスして以来7ヵ月ぶりで、前回はそこから今年1月の高値2万4100円台まで上昇トレンドを描いていきました。
アメリカの金利上昇は不安材料ではあるものの、円安が日本の株価を支える形にもなっています。これから3月期決算の発表も本格化していきます。企業業績との兼ね合いもあり、注意深く見ていきましょう。
※このコラムは毎週水曜発行の会員向けレポートから抜粋・追記したものになります。