日経平均は5月以降続いている2万3000円の強力な上値の壁をどうしても突破することが出来ません。これを突破すると、その上の水準は戻り売りの少ないゾーンに入りますので何としても突破してほしいところですが、9月の決算期末を控えて国内機関投資家からの売りが頭を抑える形になっているようです。これだけ上をピタリと押さえられていると、いわゆるその水準まで上がれば逆張り売りというやり方が定着しますので、言い換えるとそれを突破すると値上がりに弾みがつくことが期待されます。
ただ、TOPIXは日経平均のような強い形にはなっておらず、8月から10ヵ月線が下向きに転じており、月足チャートでも8月は長い下ヒゲでしたが、今月はその下ヒゲの中でまた陰線で下げてきて、8月の下ヒゲを大部分帳消しにしていますので厳しい形です。
マザーズ指数の月足は1月に最高値を付けた後、2月から7月まで6本連続陰線となりましたが、8月は7ヵ月ぶりに陽線に転じ、長い下ヒゲを引いています。月足でこれだけ陰線を重ねたのはリーマンショックの大底局面になった2008年6月から10月までの5本連続陰線以来です。終値だけで計算すると2008年11月までの6本連続陰線で止まり、大底を打ちました。
いずれにしても今回10年ぶりの連続陰線記録となり、しかも8月の月足が長い下ヒゲになったのは要注目です。というのはマザーズ指数はアベノミクス相場が始まって以降振り返ってみると、調整安の場面である程度大きく下げたところで月足が長い下ヒゲを引いた2015年8月や16年11月の例があります。共に底打ちでした。今回、8月の月足は実体が非常に小さい下ヒゲでしたが、これと同じ形は前回昨年9月、前々回は16年11月、更に16年2月にも出現していますが、いずれも底打ちで翌月から上昇相場に転じていました。それだけに今回もここまで下げてきて、新興市場には値ごろ感が出てくるのではないかと期待して見ています。
しかし、相場全体はまた不穏な空気になってきました。要注意です。
※このコラムは毎週水曜発行の会員向けレポートから抜粋・追記したものになります。