10月相場は明暗どちらに分かれるかということで、前回の当コラムでも書いておきましたが、10月に入ってから早々に下げ波乱に見舞われました。米中貿易協議の行方や、イギリスのEU離脱問題などが波乱材料として圧し掛かっていますが、世界的に悪い景気指標も次々に発表されており、日本も景気の判断が下方修正されました。
こうした中で迎える10、11日の米中閣僚級協議については、今週アメリカ国務省が、中国のウイグル族などへの弾圧を背景に中国政府高官や中国共産党幹部へのビザ発給を制限することを打ち出しました。閣僚級協議が行なわれている最中にこのようなことを打ち出してきたということは、交渉の行方に暗雲が垂れこめていると思われましたが、その後トランプ大統領から合意に向けて期待を持たせる発言が出て、日米ともに株価が反発してきました。
もとより米中貿易協議については簡単に合意に至るとは誰も考えていないはずで、私もそのような楽観的な見通しは持っていませんでした。
このコラムを書いている段階では協議の結果は判明していませんので、もちろん何らかの合意に至る可能性もありますが、ここまでの経緯を考えれば楽観的な見方をベースにするわけにはいきません。合意に至ればサプライズとして素直に受け止めれば良いと思います。
日経平均の日足チャートは調整完了を示唆する形に変わってきました。果たしてこのまま上に行けるか、全ては米中の交渉結果しだいです。
※このコラムは毎週水曜発行の会員向けレポートから抜粋・追記したものになります。