NYダウはついに2月の史上最高値からの下落率が20%を超えて、「ベアマーケット」に転じました。リーマンショック後の大底だった2009年3月から11年間にわたって続いた長期上昇相場が終ったと判断されたわけです。
今回は特に過去最速のスピードで一気に崩されました。日々激しく上下に投資家も振り回されており、まさにバンジージャンプとジェットコースターを一緒にしたような相場です。
前号でNYダウは2009年の大底以降、月足チャートでは36ヵ月線が下値の支えになっていたことを指摘しました。2010年7月、2011年10月、2015年8月、2016年1月、そして2018年2月と大きな調整局面の底値は、いずれも36ヵ月線に届いたところか、あるいは一時出来下回って底打ちとなっていました。
今回は今週の下げでベアマーケットに入っただけでなく、この36ヵ月線も大きく下回ってしまいました。3月10日の終値で36ヵ月線とのカイリ率はマイナス14.8%になっています。ここまで11年間の長期上昇相場で36ヵ月線を下回ったのは2015年から2016年にかけての局面がありました。この時は2015年8月がマイナス4.1%で底打ち。2016年1月がマイナス6.7%で底打ちしました。したがって今週マイナス14.8%に拡大してきたのは、この11年間で初めてのことです。
前号でも書いたように今回の暴落では米30年債利回りとSP500指数の配当利回りが逆転する状況になりましたが、前回2016年にこの状況になってきて米株は底打ちしましたし、その前はリーマンショックの大底局面でしたから、これは逆張り派にとっては注目すべき現象だと前々回から指摘してきました。
株価暴落が世界各国の経済対策を促すことにもなり、FRBは緊急利下げを行いましたし、日本の場合も先週は日銀がこれまでのパターンを破ってETFの大量買いを入れて、株式市場にインパクトを与えました。今週も英中銀が通常ならあり得ないタイミングで緊急利下げを発表しました。株価暴落を受けて各国の動きもあわただしくなってきました。つまり株価の暴落が政策対応を引き出す催促相場です。
今週の暴落はさすがに行き過ぎたと思いますが、過去に例が無い猛烈に早いスピードでの暴落ですから経験則が通用しない可能性もあるので、焦らずに見ていきましょう。
※このコラムは毎週木曜発行の会員向けレポートから抜粋・追記したものになります。