繰り返しお伝えしてきたように、早見は3月14日の東京セミナーで、1987年10月19日に起きたブラックマンデーの時の株価の動きについて詳しく解説しておきました。当時日経平均は短期間で一気に暴落して、その後揺り戻しもありましたが、結局終わってみれば日経平均は2万1000円台で3回安値をつけてトリプルボトムの形で大底を打ちました。つまり細かな動きはともかく最初の一撃で一気に短期間で下げるべきところまで下げたわけです。今回も同じパターンです。
さて今回の最大の特徴は新型コロナウイルスと人類との戦いということで、これはリーマンショックやブラックマンデー、バブル崩壊というようなこととは全く違い、第二次世界大戦までさかのぼらなければなりません。
そこで第二次大戦中のNYダウの動きを見ると、戦争が始まったのは1939年、終戦は1945年でしたが、NYダウはその戦争の真っただ中の1942年4月に大底を打って、以降は上昇トレンドに転換しました。
1942年4月というのは米軍が東京、名古屋、神戸に初めて空襲を行い、日米戦争において米軍が制空権を握った瞬間でした。そして6月にはミッドウエー沖海戦で日本は空母4隻と航空機290機を失う大敗北となり、以後米軍は大型空母を大量配備したことで戦局の流れが大きく変わりました。また米国では軍需物資の大量生産で軍需景気も起きて株価の追い風になっていきました。
このように株価は戦争に勝つのを待ってから上げていったのではなく、戦局の流れが変わったところをとらえて底打ちしたというのが重要なポイントです。
今回もまずはブラックマンデーの時と同じように一気に相当なところまで下げました。続いて中国での感染者ピークアウト、欧米でのピークアウト期待、そして日本でも緊急事態宣言発動でウイルスとの戦いの流れの変化を株価が敏感に感じ取って日米共に株価がグンと値上がりしてきました。先週末にダメ押し安値をつけた形です。
米大統領選では民主党のサンダース候補が選挙戦から撤退しました。これも株価には好材料です。さらに9日の日経新聞では、中国の武漢で半導体大手の工場がフル稼働になっているとのことです。
株価は常に先のことを織り込んで変化していきます。世間ではまだ感染者や死者が増えていますし、経済面でも非常に悪い数字がこれからどんどん出てきます。しかし株価はそれらを先に織り込んで行くので第二次大戦の時のように戦争のど真ん中で底打ちするという先行性は忘れてはなりません。テレワークなどコロナウイルス対策の関連株だけでなく、しばらく休んでいた半導体や5Gの関連株も要注目です。
※このコラムは毎週木曜発行の会員向けレポートから抜粋・追記したものになります。