月末恒例の翌月に向けた新たなトランプ関税砲が今月も発動されました。4月から輸入自動車に対して25%の関税を発動します。現行は2.5%ですから10倍の関税となることから、このところ堅調に戻していた株式市場はリスクオフの売りとなりました。ただ、為替にはリスクオフの動きは見られません。ドル円相場は150円乗せて小動きになっており、次の動き待ちでやや小康状態です。今週は月末・年度末最終週ですから、そういった事情を加味すると今のドル円相場の動きが本来のものではなく、年度末に絡む特殊要因の可能性がありますから、今の動きに素直に乗らず、新年度入りしてからのトレンドを判断していきましょう。
横尾寧子のFXのはじめかた
米個人消費の動向と新興国に目配り2025.03.28
ドイツの政策変更が引き続きユーロの追い風2025.03.21
3月19日、日銀が3月の金融政策決定会合で、0.5%の金利維持を決定しました。現状維持は事前予想通りで、発表時刻は11時25分とかなり早い時間の公表でした。2013年にアベノミクス相場が始まって以降、現在までの日銀の発表時刻(日銀が時刻公表をやめて以降は通信社速報時刻)を記録していますが、11時25分発表はこの12年間で最速でした。また今回の現状維持は全会一致、タカ派の田村審議委員が今回の決定に反対票を投じるかどうかが現状維持予想の中での注目点でしたが、反対意見もなく非常に穏やかに日銀イベント通過となりました。
貿易戦争強まる今、ユーロクロスでユーロ買いへ2025.03.14
先週からの流れを引き継ぎ、ユーロ急騰、ドル売りを背景にドル円相場も148円ミドルにあった下値のサポートを割り込んで、今週一気に146.53迄円高が進みました。直近は一旦円高の巻き戻しで148円台を付けていますが、21日がミリ下がりのレジスタンスとして機能していますので、近づいたら絶好の戻り売りポイントとの1つとして注視しています。
来週はFOMCと日銀金融政策決定会合を控えていますから、神経質な動きになりそうです。FOMC、日銀共に今回は据え置き予想ですが、植田総裁は直近でも利上げスタンスについて理解を求めるコメントをしつつ、必要であれば追加買い入れも検討すると示唆し、マーケットとの会話を以前より慎重に行っている印象です。
独国債利回り急騰2025.03.07
月初恒例になりそうな、関税発動。3月4日にカナダとメキシコに対して25%の関税を見送ることなく発動し、さらにはウクライナへの軍事支援の停止を命じるなど、市場が先行き不透明感で慌てる地合いが続きました。ただ5日には発動したカナダとメキシコに対する25%の関税賦課について、自動車への適用を1カ月免除すると発表。他にも例外措置を設ける可能性があると姿勢をやや軟化させた。これで関税戦争不安が幾分和らぐも、こうした繰り返しはトランプ大統領が就任して以降取り沙汰される駆け引きですからただ振り回されるしかありません。一方、意外な矢が放れたのがドイツです。
NZドルの弱さ際立つ2025.02.28
今週は全体的にリスクオフの地合いが強い金融市場全般の中で、目立つ動きになっているのが円の強さです。ドル相場は完全に150円台を割り込み、現在148-149円台で推移しています。148円台半ばに強力な下値の抵抗ラインがあって支えていますが、これを下に割り込んでくると、下げピッチが進みそうです。21日線は200日線にデッドクロスし、週足の一目均衡表は雲を下抜けとなっており、トレンドは下目線。米経済指標等は、利下げの先送り(高インフレ継続)になりそうな好数値は一時的な買い材料になれど長続きしづらく、むしろ景気後退懸念、追加利下げ期待の追い風になるような鈍化した数字が出て来ると、それに乗じてさらに下方トレンドが強まりやすいという印象です。まずは148円半ばの下支えをいつ割り込むか、大いに注目しています。
各国利下げ続く中、追加利上げ期待強まる円2025.02.21
今週発表された日本の第3QGDPが堅調だったことから日銀の追加利上げ期待が強まり、20日の午前には国債利回りが1.440%に上昇し2009年11月11日以来の高水準となり、円相場は150円台まで下落しています。(さらにNY時間には150円割れを示現)加えて金融市場はトランプ大統領が来月自動車関税政策を発表すると発言していることから警戒感(嫌気?)が台頭し全体的にリスクオフ基調となっています。トランプ大統領はそのほか半導体、医薬品、木材、その他の品目に対する関税も発表するとしており、2月1日から施行予定だったカナダ、メキシコに対する関税の行方についても再び取り沙汰されていくであろうことから、3月相場に向けては警戒感の手控えムードが強まる可能性が濃厚です。
貿易、地政学的面で次の変化が出る時2025.02.14
注目されたアメリカの1月CPIが12日に公表され。前月比の事前予想は+0.3%に対し、結果+0.5%、コア指数も予想+3.1%に対し+3.3%と好結果となり、ドル円は直近下げた分をV字型の切り返しで全戻しし、154円台まで回復しました。一時200日線を割り込み151円も割り込みましたが、強い切り返しです。パウエル議長も「利下げを急ぐ必要はない」、政策金利は当面現状を据え置くとしており、FRBによる年内の追加利下げ思惑は後退しました。CPIの公表に先立ちトランプ大統領は自身のSNSで政策金利を引き下げるよう再び要求しました。利下げと関税を同時に引き上げることが米経済に有効であるとFRBへの圧力を強めた内容になりましたから、指標とパウエル議長のスタンスを見る限りは政策金利は年内据え置かれ、CPIの進捗によっては追加利上げの思惑なども浮上するかもしれませんが、トランプ大統領が強く阻止してくると考えられ、ドルの方向感は依然として不透明です。(追記:2/14はトランプ大統領が相互関税発言で再びの円高となり、152円台ですが、引き続きこうした動きの繰り返しが予想され方向感は定まりません)
ドル円、クロス円ともに円高基調2025.02.07
2月相場が始まり、警戒された関税戦争は、カナダとメキシコへの関税を1カ月延長、中国への10%は予定通りでスタートしました。カナダドルは週初、関税警戒で大きく下げてスタートしましたが、その後いったん延長で窓埋めしたものの、経済減速警戒もあり軟調です。
ドル円相場も2月5日に12月17日以来の154円割れ以降円高が進み、2月6日の日本時間前場には田村審議委員のタカ派発言でさらに円高が進行し、一時151円台を付ける動きになりました。
まもなく関税戦争が始まる。2025.01.31
1月29日は2025年最初のFOMCでしたが事前予想通り金利は据え置かれ、特段大きな材料にはなりませんでした。政策金利は4.25-4.50%で4会合ぶりの据え置きです。
パウエル議長は会見で、現状の金融政策について、労働市場はバランスが取れており、金利はまだ引き締め的だがインフレは低下しており、今の状況を急いで変える必要はないと発言しました。市場も冷静に受け止め、当面は金利が据え置かれると予想されます。注目点はダボス会議でのトランプ大統領の発言「私はパウエル議長よりも金利を理解している。金利は引き下げるべきだ」というインフレ抑制、金利引き下げ要求についてどう思うか?ですが、パウエル議長はこの大統領の発言についてはコメントしないとしました。
日銀利上げ。一方トランプは利下げ要求2025.01.24
第2次トランプ政権が発足しました。当初は円高に進んでいましたが、「2月1日にメキシコとカナダに25%の関税を検討」という方向性で一気にドル高へ。今後円高か円安か、どちらにトレンドが固まるのかは不確定要素が高くまだまだ見えません。
就任と時期を同じくして1月20日から24日まで、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)が開催中です。各国首脳からは早速トランプ大統領の保護主義貿易、関税強化へのけん制といえる発言が続いており、各国とも何が飛び出してくるのか恐々としている雰囲気です。
そして当のトランプ大統領は23日にオンラインで当会議に出席し、「原油価格が下落している今、金利の即時引き上げを要求する。同時に世界中で金利が引き下げられるべきだ」と発言しました。第1期トランプ政権でもFRBと議長に対する緩和示唆攻撃が強かったですが、再開です。現状においてはトランプ大統領は利下げ、ドル安方向スタンスが見えました。