9月8日、仏下院はバイル首相の信任投票を否決し、去年12月の内閣発足から9ヵ月で総辞職となりました。事前予想通りの展開です。フランスでは2年足らずに首相が4人交代する等酷い政治不透明感が続いています。大統領が首相を任命し内閣発足という流れになる政治体制なので、マクロン大統領が後退しない限り、今の状況が続くということは明白で、10日では全土でマクロン辞任を求める反政府デモが行われ17万人が参加したと報じられています。マクロン大統領の盟友が新首相に任命されていますが、スタートから風前の灯火・・・。
横尾寧子のFXのはじめかた
ひっくり返った欧州の強弱2025.09.12
各国とも停滞の足音が加速している2025.09.05
FOMCで9月に利下げが決定されるのか?すでに利下げが織り込まれているとはいえ、1つ1つの材料をもってその信ぴょう性が増していく中、発表される経済指標への注目度も増しています。特に現在は9月利下げは織り込み、それ以降も更なる利下げが行われるかどうかを示す手がかり材料を探すような状況です。米ドルは対円で一時149円台まで上昇するなどドル高・円安傾向が目立ちます。仏政治と財政への懸念、ドイツ経済の停滞を背景に今夏にかけて上昇が目覚ましかったユーロの売りが目立つこと、英ポンドも財政危機で30年債利回りが急騰して98年以来の高水準になりポンド売りにつながり、相対してドルが買われる地合いになっています。
ユーロ波乱の芽、仏政権危機ふたたび2025.08.29
昨年12月4日、フランスのバルニエ前内閣が不信任案可決で崩壊しました。不信任案が成立したのは62年ぶりという歴史的な出来事でしたが、新たに発足したバイル内閣が風前の灯火です。バイル氏は大規模な歳出削減計画について、9月8日に下院で信任投票を行うと発表しましたが、主要野党3党が支持しないと表明しており、政権崩壊の可能性が高まっています。マクロン大統領が新たな首相を指名するのか、総選挙になるのか分かりませんが、このままフランスが財政再建ができない場合はIMFがフランスの財政運営に介入せざるを得なくなる可能性があるとの一部政治家の見方もあり、9月のユーロ相場に大きな影響を与えそうです。現在独仏の10年債利回り差は再び拡大しており、100bpに近づくのではないかという見通しもあり、仏30年債利回りはユーロ危機以来の2011年以来の高水準に達する等警戒ムード一色です。
NZの景気低迷感が強まる2025.08.22
NZ準備銀行は20日、政策金利を25bp引き下げ3.00%とすることを決定しました。利下げは2会合ぶり、そして3年ぶりの低水準となりました。利下げは織り込まれていたものの、そこからNZドル相場を押し下げたのは、RBNZの声明の内容です。今回は25bpか50bpと引き下げ幅について投票が行われ、4対2で25bpの利下げが決定したものの、大幅利下げを求める声があり、それが検討されたことはNZ経済の低迷感を映し出すものと判断され大きく売られる要因となりました。今回の決定を受けて、10月は50%、11月は110%の利下げ確率が織り込まれています。
変化の下地が整いつつ2025.08.15
近々で最も注目された経済指標である米国のインフレ指標が12日発表になりました。7月のCPIは前期比予想+2.8%に対し、結果+2.7%、前年比+0.2%で予想と変わらず。コア指数も概ね予想通りとなり、警戒された関税による物価高の影響が多少感じられつつも、物価抑制が効いているというのが確認されました。雇用と物価高の伸びの減速が確認されたことで9月のFOMCの利上げ確率は90%まで拡大してきました。
またこれまでトランプ大統領が再三にわたりFRBサイドへの利下げ要求を行ってきましたが、13日にはベッセント財務長官の発言も報じられました。ベッセント氏はアメリカの政策金利について「今よりも1.5ポイント(150bp)低くあるべき」と詳細な数字を言及しました。現行の利下げであれば25bpですから、最低でも6回の利下げを求める発言です。この直近の経済指標と各要人発言をふまえ、来週のジャクソンホール会合でのパウエル議長の発言に注目が集まります。もちろん利下げを示唆するような分かりやすい発言は出来ないと思いますが、これまでの指針を緩め適宜対応するようなニュアンスに変更してくるのではないかという点がポイントでしょうか。
下方への警戒強まる2025.08.08
2025年も年央から後半に差し掛かり、これまで政策金利を引き下げてこなかった国々のマクロ経済が次第に利下げを誘う内容に変化してきました。
先週も取り上げたように豪ドルは基調インフレの低下から、8月の利下げ確率が高まっています。アメリカは7月末のFOMCで5会合連続の据え置きを決定したばかりでしたが、その直後8月1日に公表された7月雇用統計がNFP+7.3万人(予想+10.4万人)、5月は+14.4万人から+1.9万人に、6月分は+14.7万人から+1.4万人にそれぞれ大幅に下方修正したことが嫌気され、一気に利下げ確率が引き上がる情勢になっています。9月16-17日に開催されるFOMCでの利上げ確率は現在80%を越えており、年内2回が想定路線。ドル相場はそれを織り込んだ動きになっています。この後12日には7月のCPIを控えており、物価上昇の状況も加味した上で、8月21日からのジャクソンホール会合でパウエル議長が金融政策についてどういった発言(講演内容)をするか注目されています。とはいえ明確な発言も無いとは思いますが、パウエル議長自身が今の物価高や米経済に対してどのような見方をしているか、以前より悲観的か楽観的かによっても相場の織り込み方が変わると思うので注目しています。
基調インフレは21年12月以来の低水準に2025.08.01
30日に発表された豪4-6月CPIは予想を下回る低水準となりました。前年比、前期比共に予想を下回ったのはもちろんのこと、注目される基調インフレ率は前回の2.90%から2.70%に落ち込み、2021年12月の2.60%以来の低水準が確認されました。
前回7月8日に利下げ予想を覆し政策金利を3.85%で据え置きしたRBAですが、今回のインフレ指標を見て、次回8月12日の会合での利下げが確実視される情勢です。
材料通過で各通貨中銀の動きに注目2025.07.25
注目の参院選が通過し、直後に発表された日米関税交渉の合意が大きなサプライズになって相場が大きく一歩動きました。ドル円相場は先週までの自民党大敗期待の円買いから、石破首相の続投でじりじりと円高、そこに関税交渉妥結で円金利急騰の円高と続いています。10年物国債は1.600%まで上昇し、2008年10月以来の水準まで来ました。来週7月31日に日銀金融政策決定会合を控えていますが、日銀が動く環境が整いつつあると言えますね。円金利先物の織り込む今年12月の利上げ確率は合意前の60%から80%まで上昇しています。ただ、今後石破首相の退陣や総裁選などが出てくる可能性が極めて高い中、ちょっとした空白の今は日銀が動いてもおかしくはない雰囲気でもあるように思えます。
豪労働市場の悪化は再びの利下げ期待へ。注目はCPI2025.07.18
7月は円高傾向に見られると見ていたドル円相場ですが、石破内閣・与党自民党への不信感と野党の躍進を背景に、円相場は自国理由で円安が進み、一時4月以来の149円台まで続伸しました。このドルの動きについては今週の「相場観」でもしっかり書かれていますので、その他の通貨の動きを確認しておきます。
上に放れたが持続性はどうか。2025.07.11
トランプ政権の日本への関税砲を受けて「想定されていたよりはマシだった」、日本の利上げ圧力が後退したといった流れを背景にドル高・円安で一時147円まで上昇して三角持ち合いと日足の雲を上抜けしました。ただ発表された内容を見ると他国と比較しても日本に現状では憤りを持たれているのは明らかであり、8月1日の施行までの選挙で揺れる日本の政権がどう対応できるのか、まだまだひっくり返る要素が上下ともにありそうで、相場の流れをつかむのが難しい展開が続きます…。