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横尾寧子のFXのはじめかた

 21日、米労働省が雇用統計の年次改定で2024年3月までの1年間の雇用者数が81万人の下方修正になるという推定値を公表しました。この年次改定による下方修正は、週初に一部で「水曜日に最大100万人下方修正になる」と報じられていたため、その報道によるドル売りなどがすでに始まっていましたが、実際に出た数字は事前予想の中でも悪いめの81万人ですから9月のFOMCによる利下げ開始確率が一段と上昇です。ジャクソンホール会合でのパウエル議長の講演は一段と注目度が上がります。ただ、こうした地合いなので特段のヒントになるような発言は極力控えると思いますので、注意して話す中に何かメッセージがないかを細かく探る人たちのアクションに警戒のほうが高めです。

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 お盆休み中もボラティリティの高い展開が続いていますが、イランがイスラエルに攻撃するという危険性がアメリカから発せられて3週目となり、地政学的リスクが発生しないのは良いことですが、次第にそうした懸念に相場が反応しなくなってきたのが少し気持ち悪く感じています。こういう時こそ気を緩ませられません。また今は為替相場全体が次のトレンドに入ったわけではなく大きな下落相場の揺り戻しであり小休止場面と捉え、次のトレンドは上か下か、しっかり見極めて判断していきたいと思います。

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 金融市場の歴史に残る激しい株式市場の暴落が一旦落ち着き、為替相場も同様に落ち着きを取り戻しています。7月31日の日銀利上げと、その後の植田総裁による継続的な利上げ示唆発言から円高に火が付き、8月2日の米7月雇用統計が悪化したことで米景気後退観測が強まったことでリスクオフと進み、週明けの8月5日はまさにブラックマンデーでした。円高は一時141円台まで進み、その過程においてはチャートや節目など全く関係ありません。過去のショック安でも繰り返された「売りが売りを呼ぶ」下げ相場で、ドル円は7月2日につけた161円の直近最高値から1カ月で20円の下落となりました。その後は内田副総裁による「金融資本市場が不安定な状況で利上げをすることは無い」という植田発言の修正も功を奏し、一旦は落ち着きを取り戻し、ドル円相場も一時147円まで急伸、現在は145円前後で推移しています。

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 7月31日に公表された日銀金融政策決定会合の結果は事前予想通りの国債買い入れ枠の縮小に加え、3月にマイナス金利を解除して以来2回目の利上げ決定がサプライズとなりました。利上げが情報ベンダーで報じられたのは12時57分と非常に遅く、コロナ禍のETF買入拡大を決めた2020年3月の前倒し開催会合を除けば、2018年7月のフォワードガイダンス導入決定の13時3分以来の遅い発表時刻になりました。

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 先週の当コラムで円安の水準訂正がなされ、目先の下値の目途は151円と書きました。レポート発行後は一時的にドルが買い戻される場面もあり、下値までは時間を要するかもしれない印象を持っていましたが、マーケットは一気にリスクオフムードが台頭しドル円相場は今月初旬に直近最高値の161.94までつけていたのが、一気に152円台まで10円近く値を消してきました。その後ずるっと151円台94銭まで下落して、見事に2022年10月と2023年11月につけた151円台の高値が強い下値のサポートとなり、その後反発して現在153円台まで回復しています。当初の当コラムには151円まで下げたときに反発するか、そのまま割り込むかで見方が変わると書いておきましたが、そのサポートでしっかり反発してきましたので、まずはこの下値が非常に強力な抵抗ラインとなったことが確認されました。ここを割り込むには再度数回のトライが見られるかもしれません。再度下値を模索するかどうか、直近では来週の日銀会合、FOMCを控えて動きを見極めるタイミングになるかと思います。

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 先週末は日銀が11、12日連続で合計5兆円超の日銀介入を実施したことが報じられ、ドル円相場は161円台から一気に157円台まで下落しました。さらに週末にはトランプ元大統領の襲撃事件を受けて大統領選挙の予想が「トランプ大統領当選」で一気にもしトラが現実的に。そうした中で今度は日本側から17日に9月の自民党総裁選で次期総裁を目指すと発言している河野デジタル相がブルームバーグTVのインタビューで「円は安すぎる。日銀に利上げを要請」と発言したことで円相場は一段と円高になっています。河野氏の発言で???という日本人サイドの印象もありますが、まず英語で海外に向けて報道されたことで、海外勢が先行して円買いを仕掛けたと見られています。加えてトランプ元大統領がブルームバーグのインタビューに対し円安に懸念を示したことでダメ押しとなり、円相場は155円まで急落しています。それだけではなく、ウォラーFRB理事が早期利下げ方針を示すなど、一気にドルに対するネガティブな報道が矢継ぎ早だったことで一段のドルの押し下げに傾きました。

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 既報の通りですが、7月11日の米6月CPI発表直後の日本時間の21時半過ぎに突如ドル円相場が急激な円高となりました。その時はCPIを見て、今週強まっていた9月利下げに向けての動きが出たのかと思いきや、一気に4円円高になり、その後政府関係者から介入を示唆する発言が出たことで日銀の介入と確認されました。円相場につれる形でクロス円も総じて円高になり、ユーロ円、豪ドル円、NZドル円、カナダドル円、スイスフラン円は高値圏で週足現時点では陰線つつみ足となっており、この中で12日の午前には日銀が「ユーロ」に対してレートチェックを行っていると報道が出ています。ユーロ円は11日に175円まで上昇し史上最高値を更新していましたので、対ユーロでも為替介入を辞さない姿勢を示すことで、ドル以外の通貨に対しても投機的な円売りを防ぐ狙いがあると報じられています。ユーロ発足の1999年以降の当局の介入はドルに限られていますので、もしユーロに介入ということになると史上初です。ユーロのレートチェックというのもこれまでありませんでしたから、こうした口先介入での抑制を求めたいところでしょうが、その後のユーロの動きは発言が効いておらず11日の下げを戻すべく堅調な動きになっています。

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 先週末の仏下院選挙第1回投票で極右が勝利したことで、週明けのユーロは上に窓開けしてスタートしました。今週末に決選投票を控えていますが、極右政党の国民連合が勝利することは間違いない路線となっています。そうすると極端に右傾化するかといえば、かつての国民連合(変更前に党名は国民戦線)であればそうであったかもしれませんが、2018年現在の国民連合に改名し、昔に比べたらソフト右路線ですから「極右」と言われて思い浮かべるイメージよりはライトな雰囲気になっていますが、それでも中道左派のマクロン大統領と、内政が極右政党となるので混乱は否めないと警戒されています。選挙後にはパリ五輪の開幕を控えていますが、テロリスクは高まる=リスクオフが発生するリスクがあると念頭に置いてのトレードが必要です。

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 先週20日のNY時間に米財務省が半期に一度の為替報告書(2023年12月までの為替動向から判断)を公表しました。その中で日本円について監視対象としたことが注目され、ドル円相場は「米財務省が監視対象にしているからうかつに介入できないのではないか」という思惑を背景に再びドル円相場は上昇し、6月28日には161.27まで上昇し前回高値を更新しています。今回の為替報告書は昨年までの動向を前提にしていることから、今年の4月29日、5月2日の史上最大規模の為替介入は加味されていません。ただ、介入を容認しているわけではないことから、さらなる介入に懐疑的であるという思惑があるものの、高値更新のドル円相場に対して本邦財務省からもけん制発言が出ていますが、高値をじりじりと切り上げていくことになると、介入せずと判断され一段高になる可能性も。神経質な展開が続きそうです。

 また為替介入の実行者として連日報じられてきた国際部門トップの神田財務官は7月31日付で退任し、後任は三村国際局長が昇格となる人事が発表になりました。

 先週のレポートで欧州議会選挙の結果フランスの政情不安が出てきたと取り上げましたが、今週は週初からそれを要因に金融市場全般が大きく波乱含みになりました。フランスの政情不安をリスク要因としている割には時差があり、ややそれを波乱の「理由付け」とした印象を持ちましたが、6月30日に控える1回目投票、7月7日の決選投票に向けての注目度が俄然増してきました。選挙結果によっては「EU離脱か」といった極論も出始めていますので、フランス同様に極右の躍進で与党の弱体化が目立つドイツをはじめとした他国も動向に目が離せません。

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