先般から話題のTACO(Trump Always Chickens Out)トレードという造語、トランプはいつもビビッて引き下がるという意味で、大風呂敷を広げたと思ったら取り止めるといった行動が続いていることについてウォール街で付けられた皮肉めいたあだ名です。ご本人は酷く不快なようですが、そう言いたくなるマーケット関係者の気持ちは、投資家の皆様もよくお分かりかと思う数カ月が続いています。来週は再びの米中での関税に対する話し合いに期待が持たれつつありましたが、4日の東京時間午後(アメリカは深夜)にトランプ大統領が自身のSNSで「習国家主席のことは好きだが、交渉相手としてはタフでディールは困難だ」とつぶやき、それまでふわっと戻していたドルが、一気にドル売り優勢となりました。またビビるのか?米中協議の落としどころが見えていないのがひしひしと伝わってくる内容で、アメリカやドルに対する信頼の揺らぎが払拭できません。つぶやいた内容自体は中国から見れば賛辞、投資家には惨事か…。答え合わせは来週に。
一方、国内景気はというと、4日に発表された5月のADP民間雇用が予想+11.2万人に対し、結果+3.7万人と2年ぶりの低い伸びとなったことで、トランプ大統領は再びパウエル議長に対し利下げを要求しています。週末に労働省の雇用統計を控えて警戒感が強まりますが、最近は民間指標と雇用統計に連動性があまり見られませんでしたが、今回のADPはガクンと落ち込みましたので楽観視できません。スタグフレーション懸念が強まり、米国への信認が落ち込んできているのは明白な中、週末の雇用統計が予想を大きく割り込み、強い落ち込みを確認させるようだと、現在利下げ予想の中央値とされている9月が7月に前倒されるという思惑が高まる可能性も否定できません。
6月6日に公表される5月雇用統計の予想中央値は失業率が4.2%、NFPが+13.0万人(前回は+17.7万人)となっていますので、NFPが予想値及び前回値に対して大きく下に乖離するネガティブサプライズに特に警戒です。
当レポートは今週木曜日発行の会員向けレポートから抜粋したものになります。
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