先週米中貿易協議で大幅関税引き下げが合意となり、目先の安心感が広がりドル円相場が一時148円まで上昇していましたが、16日にムーディーズが米国を格下げしたことで米財政懸念でドル売りが進み一転して財政不安のリスクオフムードが強まったのが今週の動きでした。格下げのインパクトは一瞬だったように思えますが、結局財政懸念が強まっていることで債券利回りが上昇し、債券利回りが上がっているのにドルは売られるという、株売り、ドル売りの「アメリカ売り」が強まっています。
また現在カナダで行われているG20会合にて日米財務相会合が行われました。「為替レートは市場で決定されるべきだ」という共通認識を再確認と前回の流れを踏襲。アメリカ側から円安に対する是正は無かったと報じられましたが、先般行われた米韓財務相会合にて否定していたウォン安是正要求が、実はあったと22日にロイターが報じていることで、韓国ウォンは6カ月ぶりの高値となり、連動して円高も強まっています。
先週148円まで急騰して高値を付けていたドル円相場は、現在143円台まできれいに右下がりで円高の動きになっており、日米の為替協議について否定しつつあるも、米韓の先のやり取りが報じられると、公にはしていないがやはり為替に対する言及があるのではないかという思惑もドル円の上値を重くしています。日本の利上げ期待は消失しているけれども日本国債の利回りもじりじりと上昇しており、債券利回りの上昇が日米欧と不気味な雰囲気を駆り立てる動きになってきています。
ここへきてアメリカ売りが強まっているのは、米国が英国、中国との関税交渉で一部合意をしたことで最初は出た安心感も、関税が完全撤廃されるわけではないので、結局米経済への不安感は強まり、そうした警戒が米株売り・ドル売りの流れになっているとなるとやはりドル買い目線は持てません。対円でも対ユーロでもドルは上がったところが戻り売りとなりそうです。
当レポートは今週木曜日発行の会員向けレポートから抜粋したものになります。
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