横尾寧子のFXのはじめかた

 日本の総選挙が終わり、いよいよ選挙イヤーの2024年最大の山場であるアメリカ大統領選挙が、来週11月5日(火)に迫ってきました。ブックメーカーの予想は依然としてややトランプ優勢に見えますが、2020年の総選挙も同じような予想の中、結果バイデン・民主党の勝利となり初動はドル買いもあまり続かず下落していきましたが、年が明けて就任以降はドル高にシフトしていきました。

 今回はどのようになるのか?選挙は最後の最後まで全く分かりませんが、投票を目前に控えた直近の動きは、トランプ当選リスクを背景にアメリカ第一主義を唱えるトランプ氏の方針への懸念から新興国通貨が軒並み軟調な動きになっています。トランプ当選を前提にドルの一段の上昇を見込んだロングを推奨するHFなどもありますが、思惑を高めているような向きもあるので話半分で見ています。なにせ選挙は水物ですし、何よりもアメリカ大統領選挙は分かりにくく影響力も高いので、毎回ポジションは持ちません。大統領選挙の開票結果は、日本時間で11月6日(水)の朝から取引時間中に報じられますから、アジア市場は速報動向に一番一喜一憂させられます。

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 ドル円相場が23日、153円を突破し、7月31日以来の高値になっています。その円安相場に株式市場は全く連動せず、円安株高の相関性が崩れ、ドル円相場だけが独歩高です。ただ150円を超えてきて一部では介入警戒感も報じられ来ていますが、夏に神田財務官が退任し、三村財務官に交代したばかりで、どのような為替政策をとるかがハッキリ見えてきていません。神田氏と同じ防衛ラインと考えているかも含めて様子見段階です。ただ、少なくとも今週は総選挙真っただ中、そして米大統領選挙を間近に控えていますから、何か行動するという可能性は薄いと思われますので、手出ししないだろうという思惑を背にさらに円安が進む可能性のほうが現実的かもしれません。

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 いよいよ選挙が近づいてきました。まずは日本ですが、一方では与党過半数割れと報じ、一方では過半数の見通しと混戦でギリギリのところであるという報道が続いています。どちらに転ぶも非常に難しい状況ではありますが、与党が過半数を取るようであれば、石破政権がスタートした直後の日銀への利上げけん制(その後けん制ではないと打ち消しましたが、けん制です)もあり、利上げ期待が当面膠着・後退し、リスクオンの流れが出てきそうです。

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 今週は中国の国慶節休暇が明け、大型の景気テコ入れ策発表に期待が高まっていましたが、何も出なかったことから期待剥落の動きが出ていました。そうした中で9日、中国当局が「10月12日に財政政策について会見を行う」と発表しました。景気下支えに向けた財政政策の強化策を紹介、質問にも回答するとのことで期待感が強まっており、すでにリスクオン相場になっています。12日の会見においてモルガン・スタンレー、HSBCは2兆元規模の刺激策発表を見込み、シティグループは3兆元との見込みとなっています。一度マーケットの期待が剥落したことも当局は十分に承知の上での会見ですから、ある程度の期待できる内容が盛り込まれるのではないかと予想されます。

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 自民党総裁選で石破氏の勝利が確定してからの株式先物、円相場の期待剥落の売りはすさまじいものがありましたが、2日の日銀総裁との会合後の「現在は利下げをするような環境にない」という発言で一気にドル円相場は147円まで戻しています。自身の総裁選勝利決定後の相場の動きを見て、10月27日の選挙を前にこれまでの同氏の主張とは異なる発言で市場の混乱に対応したのかもしれませんが、ひとまず相場はリスクオンとなりました。

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 FOMCや日銀を通過し、目先は自民党総裁選結果待ちという手掛かり材料の無い中ですが、為替市場は23日に中国が利下げを決定し、且つ追加利下げを示唆したことでオセアニア通貨が堅調な動きになっています。中国景気が回復するような道筋になると、素直に恩恵を受けるオセアニア通貨は特に上昇が顕著で、政策金利4.35%で引き続き高金利据え置きの可能性が高い豪ドルに買い安心感が広がっています。また9月26日には豪財務相が実に7年ぶりに訪中。2022年に政権交代して以降、それまでの対中から親中にシフトし、豪中の関係はかつてのような状況に近づきつつあり、貿易も次第に回復していることからも、中国の景気テコ入れは豪にはストレートにプラスとなります。中国景気上昇=豪景気上昇・豪ドル上昇というかつてのセオリーが再び復活か。

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 9月FOMCで50bpの大幅利下げが発表され、発表前の142円前後の水準から140.41まで下げましたが、その後はショートカバーが強まり143円アッパーまで買い戻されてました。こうした動きは利下げ幅への動向というよりも、直近で売られていたドルポジションの巻き戻しという一時的な面が強いと感じられます。

 さてそのFOMCですが、今回のパウエル議長の発言内容を見ると、これまで強くメッセージに出してきたインフレ抑制がある程度目標に達しつつあり、完全雇用状態の今の労働市場を維持するためにもソフトランディングに向けて前向きに早めに手を打ったという意思が示されました。今回の50bpという大幅利上げに対し、全会一致ではなく1名ボウマン理事が25bpの利下げを主張し反対票を投じる結果となりました。この反対票が投じられたのは2005年以来実に20年ぶりのことです。また今後の金融政策の方向性について、最新のドットチャートでは年内追加50bpの利下げが含まれるものの、パウエル議長は利下げペースの加速も減速も停止もありうるので、適宜調整と強く主張しました。

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 いよいよ来週は米FOMC、日銀金融政策決定会合と金融政策変更が目される注目カードが控えています。ドルは先週末の雇用統計で予想通りの鈍化を受けて142円割れ、そして11日の米大統領選候補者討論会が行われているさなか、140.71迄下落しました。日銀委員の追加利上げ示唆発言やトランプの劣勢を受けて『もしトラ』相場(株高・ドル高)の巻き戻しが出たという見方もあり、その後は8月CPIを受けて142円まで戻す場面もありましたが、週末にかけて再び値を消し、13日(金)の午後には140.65迄続落し、年初来安値を更新しました。今年は1月の年始寄り付きの安値からその後上昇していき161.95まで進みましたが、最高値の7月から2ヵ月半で年始からの上昇をすべて吐き出した形です。

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 6日に公表される米8月の雇用統計の予想中央値(ロイター)は次の通り、失業率は▲0.1%の4.2%、NFPは+16万人増で7月の11.4万人から加速となっています。7月のNFPの改定値がどのような数字になるか、また7月の悪化した水準が一時的なのか、そうではないのかという点が見極めどころになりそうです。4日に発表された7月のJOLTS求人件数は767.3万と3年半ぶりの低水準に落ち込み米景気の後退懸念の売り材料となりましたが、これは7月の数字です。実際の8月雇用統計が改善されるか、その期待予想が裏切られるかという点が大いに注目です。裏切られるようであれば、米景気後退懸念に一段の拍車がかかる可能性もありますから、近々の雇用統計の中でも一番重視して臨みます。

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 先週末のジャクソンホール会合でパウエル議長が利下げ開始を示唆する発言をしたことが取りざたされ、米株は2日連続史上最高値更新、ドルは軟調と継続的緩和路線に向けて金融市場が完全に舵を切りました。「政策を調整する時が来た」という文言が9月の利下あげ開始織り込みの手掛かり材料になっています。インフレ率も目標に近づいているという判断の中、9月の利下げ見通しは揺るぎないものになりつつあり、次のポイントは利下げ幅となっています。

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