金融市場の多くに主体性が無く、前回2016年同様、次期アメリカ政権の動向をうかがう動きが続いています。どのような発言や方針が出て来るかは予想しても意味がありませんから、現実のチャートの動きで判断していきます。
今週は上昇から一転売りが目立っているドル円相場に注目です。大統領選挙後には一時156.75迄上昇していたドル円ですが、27日には一時150.45迄下落し、一気に200日線を割れてきました。先週のコラム文末に書いた週足の陽線記録も、今週完全に打ち消し8連陽で止まりそうです。
そしてこれは確定ではありませんが、29日のNY時間引けで今月の月足が確定します。月足の動きについては、大統領選挙直前の10月24日発行の当コラムで触れておきました。ユーロ導入の1999年以降現在までで、今年と同じく7-9月が3連陰、10月に陽線を付けたことが過去に3回(2007、2009、2017年)あり、そのいずれも次の11月は陰線になっていた。今年の11月はどうなるのか経験則の1つとして注目していると書きました。
その今月は一時156円アッパー迄上昇していたことから、2カ月連続陽線で経験則にない動きになるかもしれないと思いましたが、ここへきての月足陰転で過去3回にならった動きに近づきつつあります。まだ29日が終わるまで分かりませんが、前述した過去3回(2007、2009、2017年)がその後どういう動きになったかについて確認しておきます。過去3回は11月再び陰線になりましたが、年足は陽線。しかし翌年は3回とも続落となり、翌年の年足は3回とも陰線になりました。
今年も始値は140.93ですから、今の水準だと十分年足は陽線で引ける余地があります。ただ、翌年以降の動きを経験則と照らして考えて見ると、長期のドル円投資はこの辺りで手堅く利食いを確定させておくことを個人的にはお勧めします。
次期米政権は来週にも追加の対中半導体規制を課すと明言していますから、今後も対中に限らずどのような材料が出て来るか引き続き警戒ですが、こうした中クロス円も全般的に崩れています。円キャリーの流れが一どんどん巻き戻されていますから、ドル円以外のポジションをお持ちの方も注意してください。
※当コラムは、木曜日発行の会員向けレポートより一部抜粋しました。
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