いよいよ来週は2025年最後となる金融政策会合が各国で控えています。最大注目のFOMCは9-10日に開催されますが、今回は史上最長となる政府機関一部閉鎖の影響があり、マクロ材料が揃わない状況での政策判断が求められるという難しい局面です。秋相場はこうした中で民間指標の重要度が高まっていましたが、今回も3日に発表された11月ADP雇用統計が予想+1.0万人に対し、結果-3.2万人と大きくしたブレたことで、インフレと雇用の悪化に対する予防的な利下げを正当化できる材料が整いつつあります。
加えて日本の金融政策変更も現実味を帯びてきました。日銀金融政策決定会合は、FOMCの翌週で年内一番最後ともいえる12月19日に金融政策が発表されます。日銀の植田総裁は先般高市首相・片山財務大臣と会合を持ちましたが、その後現在の金利水準は基本的に中立金利より低いと日銀会合前に利上げの地ならしではないと推察される発言が出てきたことで、政府サイドにも利上げの承認を得たうえで12月利上げ、場合によっては2026年に追加利上げの余地を残すのではないかという見通しが日々強まっています。新発10年国債利回りは直近で1.950%まで上昇してきており、2007年7月10日以来18年半ぶりの水準となっています。この急激な国債利回りは海外市場も注目しており、本邦勢が海外投資に回しているマネーを国内に還流させるのではないかという思惑も出ており、万が一国内還流となれば大きな円高要因になります。
円相場は11月20日に157円アッパーまで上昇しましたが、その後は米国の追加利下げと日銀の追加利上げの思惑を受けて緩やかに下落して、直近で21日線を下回ってきました。
さらにドル売り要因となりそうなのが、次期FRB議長の人選です。先日トランプ大統領が次期議長の有力候補としてハセットNEC委員長を示しました。ハセット氏は申し分ない経歴ながら政権サイドとのつながりが深いという点で、FRBの独立性に疑問点が出てきそうですが、正式に同氏が指名されるとなれば米国は一段の利下げに拍車がかかりそうだと思惑を呼びます。
その他通貨では利下げ打ち止めを示したNZドルが堅調で、週足では雲の上限を抜きにいく動きになってきています。雲上抜けとなれば昨年7月以来のテクニカル的な変化です。他のクロス円通貨に比べて出遅れ感が強いので一段高に期待して見ています。
当レポートは今週木曜日発行の会員向けレポートから抜粋・加筆したものになります。
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