10月3日に発表を予定されていた9月の雇用統計は、10月1日からの米政府機関一部閉鎖に伴い公表延期の可能性が濃厚です。政府機関の再開がいつになるかは全く分かりません。野党民主党が強硬姿勢を崩せば今日にも再開するかもしれず、姿勢を崩さなければ何週間もかかるかもしれません。今回の政府機関一部閉鎖によって約75万人の政府職員が一時帰休となっており、この政府職員に対してトランプ大統領は大量解雇を決定するのではないかという報道も出ています。9月の雇用統計も、また週次の失業保険申請件数の公表も延期ですが、こうした状況を踏まえると10月の雇用統計は大きく減速する見通しが強まりそうです。また民間指標であるADP全米雇用報告を見ると、予想+5.0万人に対して、結果-3.2万人と大きく下回りました。最近はADPと労働省が公表する雇用統計の数字に連動性はあまりありませんでしたから、ADPが悪い=雇用統計もきっと悪いとは言えません。しかし現在は雇用統計が出ない以上民間指標を手掛かり材料にするしかありません。
横尾寧子のFXのはじめかた
米雇用は再び悪化へ警戒2025.10.03
200日線を突破してきたドル円相場2025.09.26
米ドルの復調で、ドル円相場の日足チャートでは9月24日のNY時間に200日線を上に突破してきました。7月末に一度上に突破する局面がありましたが、酷い雇用統計の結果を受けてすぐに押し戻されましたが、今回はどうなるでしょうか。2月に200日線を下回った時が152円台の水準でしたが、その後は現在まで実質上値を抑えられています。今回が一時的な突破かしっかり上に抜けて来るのかによってトレンドもまた変わってきそうですから注目しておきたいポイントです。
この円安基調が強まる中、クロス円もドル円の上昇がサポートして堅調な通貨が多い中、NZドル円は200日線を下回ってきました。クロス円通貨ペアの中でここまで下げが酷い動きになっている通貨は他に見当たりません。先週のコラムの最後でAUD/NZDペアについても書きましたが、今日は日足のチャートを参照ください。凄まじい右上がりの豪ドル高です。自国産業が弱く、自国民の他国への移住が増えて人材流出が強まり、経済のテコ入れが非常に厳しい状況が続いています。まだコツンと底打ちする様子もうかがえません。まだこの動きが続いていくことが予想されます。
予防的利下げ、次回は据え置き予想強まる2025.09.19
9月18日、FOMCは25bpの利下げを決定しました。8月末のジャクソンホール会合でもパウエル議長が示唆したことで市場は事前に100%織り込んでいましたから市場には過度な反応はありませんでした。それでも発表後はアルゴの動きもあり上下しましたが、すぐに落ち着きを取り戻し発表前水準に。またFOMCではGDP成長率の見通しを上方修正し、インフレ見通しも引き上げるなど複数の指標で今回の利下げ決定と矛盾したタカ派な見通しを示したことから、次回以降は様子見色が強まっています。ドットチャートを見ると、年内後2回(50bp利下げ)の予想が出ていますが、これは1月まで限定的に政権サイドから指名されFRB理事となったミラン氏の以降による異常値と見られ、今回についても50bp引き下げを主張したのがミラン氏1人だったと思われることから、FRB内部の分裂懸念は後退し、独立性への信頼がやや強まり、ミラン氏の異端色が強まったような印象を受ける会合となりました。
ひっくり返った欧州の強弱2025.09.12
9月8日、仏下院はバイル首相の信任投票を否決し、去年12月の内閣発足から9ヵ月で総辞職となりました。事前予想通りの展開です。フランスでは2年足らずに首相が4人交代する等酷い政治不透明感が続いています。大統領が首相を任命し内閣発足という流れになる政治体制なので、マクロン大統領が後退しない限り、今の状況が続くということは明白で、10日では全土でマクロン辞任を求める反政府デモが行われ17万人が参加したと報じられています。マクロン大統領の盟友が新首相に任命されていますが、スタートから風前の灯火・・・。
各国とも停滞の足音が加速している2025.09.05
FOMCで9月に利下げが決定されるのか?すでに利下げが織り込まれているとはいえ、1つ1つの材料をもってその信ぴょう性が増していく中、発表される経済指標への注目度も増しています。特に現在は9月利下げは織り込み、それ以降も更なる利下げが行われるかどうかを示す手がかり材料を探すような状況です。米ドルは対円で一時149円台まで上昇するなどドル高・円安傾向が目立ちます。仏政治と財政への懸念、ドイツ経済の停滞を背景に今夏にかけて上昇が目覚ましかったユーロの売りが目立つこと、英ポンドも財政危機で30年債利回りが急騰して98年以来の高水準になりポンド売りにつながり、相対してドルが買われる地合いになっています。
ユーロ波乱の芽、仏政権危機ふたたび2025.08.29
昨年12月4日、フランスのバルニエ前内閣が不信任案可決で崩壊しました。不信任案が成立したのは62年ぶりという歴史的な出来事でしたが、新たに発足したバイル内閣が風前の灯火です。バイル氏は大規模な歳出削減計画について、9月8日に下院で信任投票を行うと発表しましたが、主要野党3党が支持しないと表明しており、政権崩壊の可能性が高まっています。マクロン大統領が新たな首相を指名するのか、総選挙になるのか分かりませんが、このままフランスが財政再建ができない場合はIMFがフランスの財政運営に介入せざるを得なくなる可能性があるとの一部政治家の見方もあり、9月のユーロ相場に大きな影響を与えそうです。現在独仏の10年債利回り差は再び拡大しており、100bpに近づくのではないかという見通しもあり、仏30年債利回りはユーロ危機以来の2011年以来の高水準に達する等警戒ムード一色です。
NZの景気低迷感が強まる2025.08.22
NZ準備銀行は20日、政策金利を25bp引き下げ3.00%とすることを決定しました。利下げは2会合ぶり、そして3年ぶりの低水準となりました。利下げは織り込まれていたものの、そこからNZドル相場を押し下げたのは、RBNZの声明の内容です。今回は25bpか50bpと引き下げ幅について投票が行われ、4対2で25bpの利下げが決定したものの、大幅利下げを求める声があり、それが検討されたことはNZ経済の低迷感を映し出すものと判断され大きく売られる要因となりました。今回の決定を受けて、10月は50%、11月は110%の利下げ確率が織り込まれています。
変化の下地が整いつつ2025.08.15
近々で最も注目された経済指標である米国のインフレ指標が12日発表になりました。7月のCPIは前期比予想+2.8%に対し、結果+2.7%、前年比+0.2%で予想と変わらず。コア指数も概ね予想通りとなり、警戒された関税による物価高の影響が多少感じられつつも、物価抑制が効いているというのが確認されました。雇用と物価高の伸びの減速が確認されたことで9月のFOMCの利上げ確率は90%まで拡大してきました。
またこれまでトランプ大統領が再三にわたりFRBサイドへの利下げ要求を行ってきましたが、13日にはベッセント財務長官の発言も報じられました。ベッセント氏はアメリカの政策金利について「今よりも1.5ポイント(150bp)低くあるべき」と詳細な数字を言及しました。現行の利下げであれば25bpですから、最低でも6回の利下げを求める発言です。この直近の経済指標と各要人発言をふまえ、来週のジャクソンホール会合でのパウエル議長の発言に注目が集まります。もちろん利下げを示唆するような分かりやすい発言は出来ないと思いますが、これまでの指針を緩め適宜対応するようなニュアンスに変更してくるのではないかという点がポイントでしょうか。
下方への警戒強まる2025.08.08
2025年も年央から後半に差し掛かり、これまで政策金利を引き下げてこなかった国々のマクロ経済が次第に利下げを誘う内容に変化してきました。
先週も取り上げたように豪ドルは基調インフレの低下から、8月の利下げ確率が高まっています。アメリカは7月末のFOMCで5会合連続の据え置きを決定したばかりでしたが、その直後8月1日に公表された7月雇用統計がNFP+7.3万人(予想+10.4万人)、5月は+14.4万人から+1.9万人に、6月分は+14.7万人から+1.4万人にそれぞれ大幅に下方修正したことが嫌気され、一気に利下げ確率が引き上がる情勢になっています。9月16-17日に開催されるFOMCでの利上げ確率は現在80%を越えており、年内2回が想定路線。ドル相場はそれを織り込んだ動きになっています。この後12日には7月のCPIを控えており、物価上昇の状況も加味した上で、8月21日からのジャクソンホール会合でパウエル議長が金融政策についてどういった発言(講演内容)をするか注目されています。とはいえ明確な発言も無いとは思いますが、パウエル議長自身が今の物価高や米経済に対してどのような見方をしているか、以前より悲観的か楽観的かによっても相場の織り込み方が変わると思うので注目しています。
基調インフレは21年12月以来の低水準に2025.08.01
30日に発表された豪4-6月CPIは予想を下回る低水準となりました。前年比、前期比共に予想を下回ったのはもちろんのこと、注目される基調インフレ率は前回の2.90%から2.70%に落ち込み、2021年12月の2.60%以来の低水準が確認されました。
前回7月8日に利下げ予想を覆し政策金利を3.85%で据え置きしたRBAですが、今回のインフレ指標を見て、次回8月12日の会合での利下げが確実視される情勢です。