ドル円相場は高市トレードで153円台まで一気に上昇しましたが、日足は最高値圏で陰線つつみ足となり、その後は政局の不透明感でじりじりと値を消しています。
10月16日にベッセント米財務長官の「日銀が適切な金融政策を進めれば、円はふさわしい水準になる」という発言が市場にじわじわと効いています。日本の当局は153円台をスルーしたのに、151円台まで下げたところで米の意向も汲んだと思われる加藤財務大臣の円安の行き過ぎについてのコメントが出るなど、アメリカの意向=利上げというのが伺えるものでした。この点加味すると直近の水準が上値の上限と考えて良さそうですが、今の日本は政局の行方次第で相場が大きく上下に跳ねるので、21日の首班指名を過ぎるまでは決めつけて動けません。
10月最終週は米FOMC、カナダ中銀会合、日銀会合、ECB会合と先進国の金融政策会合が続きます。FOMCでは25bpの利下げが100%織り込まれており、日銀は新政権での体制がスタートする中で利上げを決定できるか政治的には難しいところで据え置き予想が大勢。さらに30-31日はAPECがあり、急激に貿易戦争が悪化している米中において何らかの発言等が出るかどうか、この点に非常に注目が集まっています。緊迫した状況になっていますから、米中との貿易が活発な日本を含む周辺国にもどのような影響が及ぶか注意が必要です。
こうした要因でトレンドが構築されにくい状況なので、別途材料が出ればその限りではありませんが、現状では150円を挟んでの小動きになるのではないかと見ています。
先週のレポートで高市総裁誕生を受けてドルを筆頭にクロス円が日足で大きな窓を開けたことに触れましたが、その後の動きを見るとNZドル円だけが17日窓埋め完了となり、NZドルの弱さが顕著に出た動きになっています。他要因で上昇しても、自国経済が弱いので買いが続きません。
当レポートは今週木曜日発行の会員向けレポートから抜粋したものになります。
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