ひっくり返った欧州の強弱2025.09.12

 9月8日、仏下院はバイル首相の信任投票を否決し、去年12月の内閣発足から9ヵ月で総辞職となりました。事前予想通りの展開です。フランスでは2年足らずに首相が4人交代する等酷い政治不透明感が続いています。大統領が首相を任命し内閣発足という流れになる政治体制なので、マクロン大統領が後退しない限り、今の状況が続くということは明白で、10日では全土でマクロン辞任を求める反政府デモが行われ17万人が参加したと報じられています。マクロン大統領の盟友が新首相に任命されていますが、スタートから風前の灯火・・・。

 このフランスの状況と対照的に安定した政治で経済回復を行っている評価が高いのがイタリア初の女性首相であるメローニ氏。メローニ政権は1946年の共和制成立以降で4番目に長い政権となり、短期政権で常に交代していた政治体制のイメージを払拭し、安定政権と財政再建への取り組みが評価され、イタリア国債利回りは先日、フランス国債利回りと逆転し、債券価格上昇・利回り低下のかつてない信頼を得る状況になっています。欧州債務危機当時はギリシャ、ポルトガル、スペインとならぶ債務状況の悪い欧州の足を引っ張る国として名高かったイタリアが、今では様変わりです。今回のフランスの政権崩壊は事前予想通りとなりましたが、ユーロが高止まりしているのはイタリアの信認も厚く、またドル安という流れの強弱の結果にもなっています。ただし今後、米経済鈍化が止まるような経済指標結果が出たり、フランス暴動悪化ということになれば、ユーロの売り材料になりそうです。

 来週の各国の金融政策会合を控えて、目先は様子見ムードが強まりそうですから、難しいトレンドを考えるのではなく来週の会合に関係ないオセアニア等注目して見ましょう。豪ドルが7月の高値を抜いて97.74迄上昇して高止まりしています。利下げ懸念はありますが、今年3回の利下げを行っており、8月の会合時に大幅利下げの議論が無かった点に買い安心感が出ており、加えて資源価格の上昇、中国経済の出直りが追い風になっています。連動してNZも上昇していますが、これは連れ高の印象が強く、AUD/NZDのチャートを見ても豪ドルが堅調ですから、選ぶなら豪ドル買いとなりそうです。

 さて、来週末は日銀の金融政策決定会合を控えています。政治空白の時期に重なりますので、9月は利上げ見送りムードが強まってきました。(次回は10月30日)

当レポートは今週木曜日発行の会員向けレポートから抜粋したものになります。

 

◇◆◇横尾寧子監修の書籍のお知らせ◇◆◇

ゼロから始められる!マンガFX超入門

FXアドバイザー横尾寧子の監修した新刊がこのたび発売されました!

この度、新しいFXの書籍の監修をさせていただきました。
FXをマンガで解説、分かりやすくFXの仕組みやノウハウがまとめられています。マンガと侮るなかれ!初心者の方がFXを始めるのに抑えておきたい情報はしっかり収めた1冊になっています。
これまで多くの書籍の著者・監修と携わらせていただきましたが、過去最高に分厚い一冊になりました。お手に取っていただければそのずっしりとした情報量を実感していただけると思います。文字も大きくて見やすく、FXをするお隣にそっと置いていただける1冊になりました。
多くの投資家の方に手に取っていただければ幸いです。

・発売日 : 2023年1月25日
・出版社 : 株式会社西東社

 

インターネット有料情報(コラムページ用)インターネット有料情報
☓ バナーを閉じる

有料情報「早見雄二郎の特ダネ株式ニュース」 お電話または、インターネットで早見独自の株式投資情報が手に入る有料サービス

電話有料情報(情報料300円)インターネット有料情報(情報料300円)はこちら