直近では155円で当局からの警戒感が出ていたドル円相場は19日も10年債利回りが1.775%まで上昇するなど、12月利上げを織り込んだ動きになっていました。しかし19日夕方に行われた片山財務相、城内経財相、植田日銀総裁による3者会談にて「為替について具体的な話はなかった」と片山財務相が発言したところが起点となり、ドル円相場は一気に157円台まで上昇して10カ月ぶりの水準となりました。今の水準と勢いは半端に介入したところですぐに戻されるし、円安にしたいという意向ならともかく、円安を是正したいという意向があったのだとしたら、3者会談が必要だったのかどうかと思わなくもないですが、その後公表されたFOMCの議事要旨にて年内の追加利下げの可能性が後退したことも合わせて円安に拍車がかかりました。
米政府機関一部が閉鎖していたことで統計の公表が遅れていましたが、取り急ぎ直近で発表されたスケジュールでは、11月25日に9月の小売売上高公表、11月26日に9月の耐久財受注を公表、この辺りのスケジュールは感謝祭(感謝祭は11月27日)ウィークに入っていることから、発表時のマーケット参加者によって大きく値が動きやすいかもしれません。
FOMC前にその重要な資料として確認ができるのか注目されていた雇用統計について、労働局は10月の雇用統計は発表しない。11月の雇用統計は12月16日に発表する。その際に10月のNFPも同時に発表するとしました。10月の雇用統計は欠損、そして12月のFOMCは12月9-10日であることから、その前に景気の判断指標として注目している雇用統計を確認することが不可能であるという点からも、追加利下げの可能性が後退した要因の1つです。
さらに10月3日に公表予定だった9月の雇用統計を11月20日に公表しましたが、失業率が4.4%(予想4.3%)、NFPが+11.9万(予想+5.1万)、同時に発表されたイニシャルクレームは22.0万(23.0万)と、予想を下回るもまだ雇用が悪化したとは言えない数字となり、その後の各地区連銀総裁発言も合わせると、スワップ市場は12月利下げは無いと判断した動きになっています。
物価高対策にも1回は利上げを了承せざるを得ないと思われる政府と日銀ですが、その日銀の内田副総裁が白血病の治療のために数週間ほど入院すると14日発表がありました。ただテレワークで公務は続行し、現在は12月の日銀会合には対面での出席を予定されています。年明けには解散総選挙の見込みなども出てきている高市自民党ですから、利上げを出来るタイミングとしては副総裁も出席される12月が最も高いのではないか・・と思わざるを得ません。(2026年1月の日銀会合は22-23日ですから、スケジュール的に解散も予想すると際どいところです)
尚、ドル円相場が157円まで上昇して財界等サイドからも円安についての言及が増えてきたことを受けてか、片山財務相は21日午前「為替介入は選択肢として考えられる」と発言しています。口先介入のレベルがこれまでよりも一段上がりましたが、この為替の水準と円安の勢いだと、これは押し目を作るだけになりそうな気がします。
当レポートは今週木曜日発行の会員向けレポートから抜粋・追記したものになります。
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