月末のAPECを控え、米中の貿易戦争激化、米ロの会談延期、金価格の急落など不穏なニュースが続いています。こうしたリスクが囁かれると買われるスイスフランは対円で191.91迄上昇し史上最高値を更新しています。実際にこのリスクは火を噴くのかというと、今の時点での金融市場の捉え方は、トランプの「TACOトレード」で良い押し目になるのではないかという見方が大勢と見られます。そうなってくれれば幸いですが、米地銀で起きた不正疑惑や、米サブプライム自動車ローン会社の経営破綻がこのところ続いていますので、米発をメインに国外のニュースに敏感に注視は怠れません。
さて日本は高市首相が誕生しました。来週は早速の外交デビューとなりますが、政権発足から短期間に次々と新たな政策が打ち出され、高い支持率でのスタートになったこともドル円相場には強い追い風になり、152円台まで値を戻してきました。ただ、インフレ対応が急務となる中で円安がこれ以上進むのをスルーするかどうかは懐疑的です。高市政権で財務大臣に就任した財務省出身の片山氏は、今年3月のロイターのインタビューで「ドル円は120円台の時期が長かったので、120円~130円、120円台が実力との見方が多い」と発言し、インフレ対策には円安抑制が必要であるというスタンスを示していましたが、今回は積極財政派であるということが材料視され円安に繋がっています。
来週はAPECの直前にFOMC、日銀会合、ECB会合と続々と金融会合が続きますが、日銀について市場予想は10月は様子見、12月利上げという目算。前回9月の会合は、据え置きだったにも関わらず発表が12時47分と非常に遅かったことで市場はじりじりさせられました。日銀の発表は時間が決まっていない為、据え置きで変更がない場合は11時半~12時の間、遅くても12時半までというのが予想時刻で、12時半を過ぎると「何か変更か」という警戒に繋がり、13時を過ぎると「間違いなく変更」と市場が見て動き出します。参考までにアベノミクスの大幅緩和が決定した2013年4月4日の発表時刻が13時40分、追加緩和の2014年10月31日が13時44分、フォワードガイダンスを導入した2018年7月31日が13時3分、そして2024年7月31日の利上げ時は12時57分でした。発表時刻が遅くなればなるほど思惑がつながりやすいという根拠の1つがこれまでの事例ということになります。
話は戻り、9月の発表が遅かった日銀会合は据え置きだったものの全会一致ではなく、2名(高田委員田村委員)が25bpの利上げを主張したことも大きなポイントでした。今回は12月利上げ予想に繋がるヒントが出るか注目されます。
当レポートは今週木曜日発行の会員向けレポートから抜粋したものになります。
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