FOMCで9月に利下げが決定されるのか?すでに利下げが織り込まれているとはいえ、1つ1つの材料をもってその信ぴょう性が増していく中、発表される経済指標への注目度も増しています。特に現在は9月利下げは織り込み、それ以降も更なる利下げが行われるかどうかを示す手がかり材料を探すような状況です。米ドルは対円で一時149円台まで上昇するなどドル高・円安傾向が目立ちます。仏政治と財政への懸念、ドイツ経済の停滞を背景に今夏にかけて上昇が目覚ましかったユーロの売りが目立つこと、英ポンドも財政危機で30年債利回りが急騰して98年以来の高水準になりポンド売りにつながり、相対してドルが買われる地合いになっています。
そしてアメリカも、3日に発表されたベージュブックで全米の大半の地区が物価の上昇に対して賃金が追い付かず、結果個人消費が減退していることが確認されています。5日に8月の雇用統計の発表を控え、3日に発表されたJOLTS求人件数は失業者1人あたりの求人数が0.99件で、コロナ不況後の2021年4月以来初めて1.0を下回ったことが確認されました。求人よりも解雇が多い。ファンダメンタルズ面からは米経済停滞がじわじわと確認されるような雰囲気です。
8月雇用統計の市場予想はNFPが+7.5万人増(前月+7.3万人)、失業率は4.3%(前月4.2%)となっており、就業者は微増するも失業率は悪化するという見込みです。そして今回の数値以上に注目されるのが「改定値」で、前回も改定値で発表済みの数字が大きく下方修正されたことがネガティブサプライズになりました。この前月の+7.3万人が大きく下方修正されるようになると、雇用環境の悪化が一段と厳しいものになり、利下げの「幅」や回数が一段と活発に議論される内容になるかと思われます。
材料的にはドル売り圧力が強まるものが出そうな雰囲気ですから、現在の戻りは良い売り場になるかもしれませんが、FOMC(9/16-17)前に石破首相が退陣するとなるようであれば、日本サイドは円売りで歓迎相場?基本はドル戻り売り目線です。しかしユーロはフランスで9月8日に行われる信任投票でバイル政権が敗北・政権崩壊につながるようであれば政治不透明感と財政懸念でユーロ売りで結果ドルが買い戻されるような地合いになりやすく、あっちこっちも弱いから、二国間の強弱の影響からクロス通貨も方向性が見えづらくなりそうで、いつか来た道を思い出す何かの前の重い雰囲気が感じられて仕方ありません。
当レポートは今週木曜日発行の会員向けレポートから抜粋したものになります。
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