12日のNY市場では近く米下院でつなぎ予算が成立するという見込みから、米政府閉鎖が解除される見通しとなってきたことを好感して米株・米ドルともに上昇しました。対円では155円台まで到達しましたが、ここから先は直近でも片山財務相の口先介入があったので、警戒感から上値を追いにくいと思われます。
日本時間では10月13日にトランプが合意書面にサインをし、これをもって長く続いた米政府機関一部閉鎖は解除となります。今回の閉鎖はかつてない最長記録となり、110億ドル(1.7兆円)もの損失を生んでしまったという結末ですが、金融市場には少し厄介な問題が出てきます。
というのも、米政府機関が閉鎖されていたことで、一部の経済統計の公表が延期されていました。閉鎖が解除されましたので9月分の統計は早いうちに公表されるのではないかという可能性が高いですが、問題は10月分です。10月は完全に業務が停止していたので、まずは統計の算出等から始まりますが、既に11月も半ばに入っており、正確な数字が集まるかどうか懐疑的です。ホワイトハウスのレビット報道官は12日「民主党は連邦政府の統計に恒久的な損害を与えた可能性があります。10月の消費者物価指数と雇用統計は恐らく永久に発表されないだろう」と10月のCPIと雇用統計が欠損となる可能性を指摘しました。12月に入ると9-10日にFOMCを控えており、3回連続利下げとなるのか、それとも見送りになるのか、当然ですが非常に注目が高い会合です。金融市場は25bpの利上げ確率を60%と見ていますが、実際にFOMCで金融政策を決定する上で重要な資料であるCPIと雇用統計が抜けるというのは前代未聞ですし、統計の重要性を鑑み、ここに向けて10月分とする数値を急ぎ算出してくる可能性が無いとも言えません。ただその数値の正確性も難しく、継続性に大きな穴が開いたことは否めません。そして発表される数値の翌月の修正も大きいものになる可能性も・・・。
ドル円相場が155円まで上昇している陰で、ユーロ円は179円ミドル迄上昇してユーロ導入以来の最高値を更新し、スイスフラン円に次ぐ対円通貨での上昇を誇っています。ウクライナ危機に発生した資源価格の暴騰も落ち着き、今後もドル円相場が崩れない限りは、ユーロ円上昇はするっと一段高となりそうですが、青空天井になっておりスイスフラン同様にポイントとなる節目はありません。
当レポートは今週木曜日発行の会員向けレポートから抜粋したものになります。
◇◆◇横尾寧子監修の書籍のお知らせ◇◆◇
FXアドバイザー横尾寧子の監修した新刊がこのたび発売されました!
・発売日 : 2023年1月25日
・出版社 : 株式会社西東社


文字サイズ
このページを印刷




Copyright © MEDIK Investment Advisory Co.,LTD, All Rights Reserved.
