NZ準備銀行は20日、政策金利を25bp引き下げ3.00%とすることを決定しました。利下げは2会合ぶり、そして3年ぶりの低水準となりました。利下げは織り込まれていたものの、そこからNZドル相場を押し下げたのは、RBNZの声明の内容です。今回は25bpか50bpと引き下げ幅について投票が行われ、4対2で25bpの利下げが決定したものの、大幅利下げを求める声があり、それが検討されたことはNZ経済の低迷感を映し出すものと判断され大きく売られる要因となりました。今回の決定を受けて、10月は50%、11月は110%の利下げ確率が織り込まれています。
同国については15日にNZ統計局が発表した内容も現状を示す厳しい数字が出ています。6月までの1年間でNZを出国した市民が7万人強、2012年6月以来最多記録となりました。その理由として挙げられるのが国内の景気鈍化、失業率の上昇を受け、より報酬の高い職を求めて海外に移住する市民が多かったという内容でした。国民の感じる景気減速感が外から見る以上に強そうです。
また3月に電撃辞任したオア総裁の退職理由が、政権との方針の違いによるものであったことも直近報じられました。現在期間限定で総裁職を務めるホークスビー氏は正式な総裁就任を希望しているということですが、中銀と政局の関係性と不透明感や経済政策全体への不安感もNZドル投資への買い手控え材料となっており、まだまだ下値余地があると見ています。
そのほか、ドル円相場は低ボラで夏枯れと言える動きのない展開が続いています。今週末に控えているジャクソンホール会合でのパウエル議長の発言待ちで現状は小康状態です。とはいえ日本サイドで見ると、20年国債の利回りが2.655%まで上昇し、1999年以来約30年ぶりの高水準まで来ています。10年債利回りが現状1.6%台、2年債利回りも0.85台で今年3月の0.88台に肉薄して利回り上昇が目に付く動きになっており、日銀の利上げを見込んだ動きが強まってきています。今は動いていないドル円ですが、パウエル議長の講演次第ではドル売り、円買いの流れが一気に加速しそうな相場地合いになっています。
当レポートは今週木曜日発行の会員向けレポートから抜粋したものになります。
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