先週末まで10月の利上げ思惑を背景に再び200日線を下回って落ち込んでいたドル円相場でしたが、ビッグサプライズの高市総裁決定で今週は大きく窓を開けてスタートしました。先週末の高値が147.81に対し、今週現時点での安値は148.96で日足チャートを見るときれいに窓を開けたまま高値を切り上げています。ドル円相場がこの高値の水準でここまで大きく窓を開けたという記憶が少なくとも2000年以降ありません。ユーロ相場では2017年4月のフランス大統領選で懸念された極右のルペン氏よりマクロン氏が優勢だったことからユーロ買いスタートとなり大きく窓を開けたスタートした時がありました。対円、対ドルで開けたこの大きな窓を開けるにはかなり長い時間を要していました。チャートのセオリーで窓開けは窓埋め狙いのトレードを狙う人もいましたがロスカットせざるを得ない強い上昇でした。週足でもしっかり出ていますので、2017年に振り返って見て下さい。
では今回のドル円の窓を埋めるのがそこまで長い時間を要するかといえば、その当時のユーロ円が120円台というそこそこの水準だったのに対し、現在のドル円は円安ピークの水準ですから同等ではないと思います。また高市総裁の方向性にも物価高抑制が含まれていることもあるので、ここからさらに一段と円安が進行し続けるとは考えにくいですが、チャートに残っていく大きな節目を作った今週の動きになったと思います。
その他のクロス円もドル円につられるように今週は軒並み大きく窓開けした動きになっています。今週8日にサプライズの50bpの大幅利下げを決定し、追加利下げ示唆したNZドルでさえ、瞬間の下落から戻して88.50台に上伸して高値を切り上げる動きになっています。NZドル円は週足でも大きな窓になっていることが確認できますので、窓埋めのショートを考える時には売り材料が潜在するNZドル円で先週末の高値86.32が下げの目安として狙えそうです。RBNZの年内最後の会合は11月26日です。なお、12月にはRBNZの新総裁(現スウェーデン中銀副総裁のアンナ・ブレマン氏)が就任し、体制一新となりますから、金融政策の方向性も来年はガラッと変わるかもしれません。NZドルをトレードする方はそのあたりを念頭に置いて下さい。
当レポートは今週木曜日発行の会員向けレポートから抜粋したものになります。
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