近々で最も注目された経済指標である米国のインフレ指標が12日発表になりました。7月のCPIは前期比予想+2.8%に対し、結果+2.7%、前年比+0.2%で予想と変わらず。コア指数も概ね予想通りとなり、警戒された関税による物価高の影響が多少感じられつつも、物価抑制が効いているというのが確認されました。雇用と物価高の伸びの減速が確認されたことで9月のFOMCの利上げ確率は90%まで拡大してきました。
またこれまでトランプ大統領が再三にわたりFRBサイドへの利下げ要求を行ってきましたが、13日にはベッセント財務長官の発言も報じられました。ベッセント氏はアメリカの政策金利について「今よりも1.5ポイント(150bp)低くあるべき」と詳細な数字を言及しました。現行の利下げであれば25bpですから、最低でも6回の利下げを求める発言です。この直近の経済指標と各要人発言をふまえ、来週のジャクソンホール会合でのパウエル議長の発言に注目が集まります。もちろん利下げを示唆するような分かりやすい発言は出来ないと思いますが、これまでの指針を緩め適宜対応するようなニュアンスに変更してくるのではないかという点がポイントでしょうか。
さらにベッセント氏は日本についても発言しました。日銀はインフレ抑制に取り組む必要がある。日本の金利動向は確実に他市場にも影響及ぼしている。
日銀への利上げ催促です。この発言の良し悪しはともかく、アメリカは今のドル円相場に満足しておらず、ドル安・円高を求めているのが強く伺えます。波乱が出やすい秋相場において、ドル円相場が大きく影響してくる可能性に警戒しましょう。
その他目についたのが、中国の不動産最大手である恒大集団は香港取引所より上場廃止通知を受け、8月25日をもって上場廃止されることが報じられました。2021年9月に突如恒大の理財商品の償還を求めて投資家が殺到する大騒ぎとなり、金融市場全体に「中国不動産崩壊不安」という懸念を広げ、当時軒並み株安となりました。その中国不動産の象徴でもあった同社の株式市場からの退場、そして身売り先探しが囁かれています。
1年で一番荒れる秋相場を前に、安易なポジション取りは致命傷になりかねない・・・そんな雰囲気が強まってきたように思えます。
当レポートは今週木曜日発行の会員向けレポートから抜粋したものになります。
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