11月20日、21日とウクライナ軍がロシアに向けて、米製、英製の長距離ミサイルを初めて使用してロシア領土を攻撃したことが報じられ、一時的にリスクオフになる場面になりました。ウクライナ戦争は長期化していることで市場参加者にも耐性が(言い換えれば慣れ)が出来てきているとは言え、ロシア軍が北朝鮮兵士を導入したこと、英国はそれを受けて自国のミサイルの使用を認めたこと、さらにはバルト海で欧州の海底ケーブルが不自然に破損する事故が多発していることに、一部の国は第三国の関与を示すなど、世界を巻き込んだ次のステージ進みつつある嫌なムードが漂っています。各国揃って来年1月20日に就任する米トランプ大統領の出方を待っているとも言えますが、トランプ氏がこれまでウクライナへの支援の終了を示唆していることなども起因していそうです。攻撃を受けたロシア側は、核使用基準を引き下げる核ドクトリンの改定を示しました。
こうした世界的な不安が高まる中で、マネーは「強いところ」に向かいます。ドル相場のトレンドはともかく、現状為替ではドル独歩高が続きそうですし、米株にも向かいやすい。不動の金や暗号通貨等も引き続き買いが強まりそうな中、日本に対しては、現在の政権が世界の中で軽視される状況になっている様相もあり、投資マネーが向くのかどうか不安が高まります。
ウクライナから連日攻撃を受けているロシアの今後の出方も気を引き締めて警戒が必要ですが、ひとまず目先はドル買い、ユーロ戻り売りスタンス継続です。アメリカとの比較で見たユーロ売りだけでなく、欧州圏だけを見ても、地政学的な問題や独仏といった大国の政治体制の弱体化等、売られやすい材料が揃っています。来年以降はドル安政策でも出るようなら反転上昇となる可能性もありますが、今は引き続き妙味が高いのはユーロ売りドル買いと考えています。
ちなみにチャートはドル円週足です。雲の上限を歩いているかのようにきれいに右上がりの上昇が続いており、現時点で8週連続陽線です。前回この記録を見ると、2022年10月につけた151.94の高値の直前に9週連続陽線になったことがありましたが、それ以来の記録です。その時は、日銀の覆面介入で円安が一時的に大きく後退しました。
※当コラムは、木曜日発行の会員向けレポートより一部抜粋しました。
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