今年の5月相場は意外にも米中貿易協議で「90日間の関税率大幅引き下げで合意」の発表を受けて株高、ドル高のリスクオン相場になりました。ドル円相場は4月22日の139円台から148円台まで上伸しましたが、貿易戦争の緩和期待への買いが一服したところで、次の目線は日米交渉への期待へと移って146円台まで一目均衡表の雲の下限を沿うように値を消しています。
14日に韓国政府関係者がアメリカと5日にウォン相場について協議したという発言を受けて、対韓国ウォンでドルが急落し、円相場も連れ安してドル売りとなりました。来週行われると報じられている日米交渉で円安是正の動きがあるのではないかという思惑が高まってきています。米側はドル安政策を貿易交渉の一部にしないとしていますが、ひっくり返しあうのが今のトランプ政権ですから真に受けられません。むしろ円安是正を求めてくることへの警戒が根強く、押し目買いより戻り売り目線ですが、あくまで短期一択です。
4月の関税戦争の大荒れ相場から一転して株式市場は全面的にリスクオン相場となりましたが、8日には米英が貿易合意をし、ポンド円は堅調に上昇。そして米中が貿易協議で90日間関税引き下げ合意をしたことで、オセアニア通貨も堅調です。このコラムを書いている15日午前の時点で豪ドル円、NZドル円共に米中合意の報道を受けて週明けに窓を開けて上伸しており、いまだに窓埋めになっていません。
さらに豪ドル円は昨年12月以来日足で雲を上抜け、月足も4月に長い下ヒゲを付けて目先の安値を示す形になり反転、来週RBA会合を控えていますが、短期金融市場に現時点で織り込まれている年内の利下げ回数は、来週を含めて3回にとどまる。わずか4週間前には少なくとも5回の利下げと市場で見込まれていたので、こうした利下げ期待が後退していることも豪ドル追い風になっています。
トランプ大統領は中東を訪問しサウジからビッグディールを取り付け半導体相場も上昇するなど、完全戦争は次のフェーズに入ってくる中、変化がないのは日米関係ですが、そうした日本政治の交渉力等の弱さもまた年後半の相場に影響を及ぼす不安もやや拭えません。
当レポートは今週木曜日発行の会員向けレポートから抜粋したものになります。
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