2025年も年央から後半に差し掛かり、これまで政策金利を引き下げてこなかった国々のマクロ経済が次第に利下げを誘う内容に変化してきました。
先週も取り上げたように豪ドルは基調インフレの低下から、8月の利下げ確率が高まっています。アメリカは7月末のFOMCで5会合連続の据え置きを決定したばかりでしたが、その直後8月1日に公表された7月雇用統計がNFP+7.3万人(予想+10.4万人)、5月は+14.4万人から+1.9万人に、6月分は+14.7万人から+1.4万人にそれぞれ大幅に下方修正したことが嫌気され、一気に利下げ確率が引き上がる情勢になっています。9月16-17日に開催されるFOMCでの利上げ確率は現在80%を越えており、年内2回が想定路線。ドル相場はそれを織り込んだ動きになっています。この後12日には7月のCPIを控えており、物価上昇の状況も加味した上で、8月21日からのジャクソンホール会合でパウエル議長が金融政策についてどういった発言(講演内容)をするか注目されています。とはいえ明確な発言も無いとは思いますが、パウエル議長自身が今の物価高や米経済に対してどのような見方をしているか、以前より悲観的か楽観的かによっても相場の織り込み方が変わると思うので注目しています。
が揃って陰線つつみ足示現となりました。中でもユーロ円は2024年7月の高値に近い173.89の最高値圏での陰線つつみ足です。その2024年7月も最高値で陰線つつみ足となり、そこから1カ月で154.40まで12%の急落となりました。その頃は日銀のドル売り介入もあったのでドル円の下落が更なる追い風になった点はありましたが、今回の週足陰線つつみ足はその時以来の高値圏での形ですから要注意して見ておく必要があります。
目先は足元で関税問題により相場が揺れる可能性も大いに警戒されます。バケーションシーズン中ですから市場参加者が少ないことでちょっとしたことで極端に相場が動くこともよくあります。ポジションを小さくすることをお勧めします。
追記
トランプ大統領は8月7日付でFRB理事途中退任を表明したクグラー氏の後任に、米大統領経済諮問委員会のスティーブン・ミラン委員長を充てる人事を発表。クグラー氏の任期である26年1月末までの短期間になりますが、スティーブン・ミラン氏はトランプ大統領の関税政策、ドル安政策の考え方の指針になっていると考えられており、任期は短期であることから相場は一時的な反応でしたが、FRBの方向性が一段とハト色が強まる可能性が警戒されます。
FRB理事にミランCEA委員長 26年1月まで短期間、トランプ氏表明
当レポートは今週木曜日発行の会員向けレポートから抜粋・追記したものになります。
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