注目の参院選が通過し、直後に発表された日米関税交渉の合意が大きなサプライズになって相場が大きく一歩動きました。ドル円相場は先週までの自民党大敗期待の円買いから、石破首相の続投でじりじりと円高、そこに関税交渉妥結で円金利急騰の円高と続いています。10年物国債は1.600%まで上昇し、2008年10月以来の水準まで来ました。来週7月31日に日銀金融政策決定会合を控えていますが、日銀が動く環境が整いつつあると言えますね。円金利先物の織り込む今年12月の利上げ確率は合意前の60%から80%まで上昇しています。ただ、今後石破首相の退陣や総裁選などが出てくる可能性が極めて高い中、ちょっとした空白の今は日銀が動いてもおかしくはない雰囲気でもあるように思えます。
最大の懸念だった関税交渉が無事にまとまり、参院選も通過、金利は上昇しており、今後利上げの再開やターミナルレートが切り上がる観測が強まりやすくなっていることも円買い追い風になっています。加えて米FRBに対するトランプ大統領の不満が日々高まっており、後任議長は年末年始にかけて発表されるとしていますが、現状でパウエル議長の辞任を迫る声や時期FRB議長の色目を感じているのか地区連銀総裁や委員の発言の中にはやや政権寄りに傾いた内容を発する人も見受けられるようになってきました。こうした雰囲気も近い将来のアメリカ利下げ転換を想定した思惑のドル売り・円買いの流れの1つになっているようです。
その他通貨では、来週CPI発表予定の豪ドルを見ると、直近で21日線が200日線にゴールデンクロスしてきました。昨年11月以来の変化です。ただ、同じような形を先に示現しているNZドル円、カナダドル円共にゴールデンクロスしたところで高値がピークアウトしており、昨年11月の豪ドル円も同様にクロスしてピークアウトだったことから、引き続き動きに注目しています。
とはいえRBAのブロック総裁は24日「低い失業率が継続するような兆候はなく、豪政府の電気料金割引が終了する今年末までにインフレは3%まで回復するだろうから金融緩和措置を慎重かつ段階的に進めることが適切」とタカ派の発言をしており、来週のCPIの数値が堅調であればポンと上に放れる可能性も。いずれにしても手掛かり材料が現状で豊富な豪ドルの動きは注目しています。
当レポートは今週木曜日発行の会員向けレポートから抜粋したものになります。
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