7月9日の関税交渉期限を前に、警戒と慣れ、そして飛び出すトランプ砲への不安といった雰囲気になっていますが、目先の為替の動きはトランプ大統領の望む方向へ着実に動いています。
2017年1月から第1期トランプ政権も保護貿易主義を前面に押し出し、ドル安にかじを切り、ドル不安から相対してユーロが大きく買われる展開になりました。その2017年当時のユーロドルと、今年1月から始まった第2期トランプ政権のユーロドル、動きを見てみると同様の動き方をしているのが鮮明です。現在ユーロは日々値を切り上げていく強い動きになっており、年始にパリティ割れ寸前まで行っていたのが嘘のように、直近で1.18台まで上昇し2021年以来の高値になっています。デギンドスECB副総裁も1.20迄の上昇を許容していますが、欧系銀行のストラテジストの見方では中長期で1.25台も思惑として浮上しています。1.25台を付けるとなると、まさに2018年のトランプ政権第1期以来の水準です。
ユーロ高の背景には欧州近々の地政学リスク不安の低下やユーロ経済の出直りなどもありますが、それ以上にアメリカとドルへの信認低下による比較が非常に大きく、しばらくその流れが続きそうな気配です。時折出て来るドル買いユーロ売りの下げがあれば押し目買い方針をお勧めします。
さてドル円相場ですが、日足のチャートで大きな三角持ち合いをなかなか抜けきれません。いったん上に放れて押し戻され、直近では下抜けしたところで雇用統計で押し戻され結局もみ合いが続いています。ドル売りの流れは続いていますが、指標が出るたびに利下げ期待は薄れ、方向感が定まらない中で今は各国との関税協議の行方待ちです。
このドル円の月足陰陽をリーマンショック以降だけ見ても、7月はとにかく陰線が多いです。2008年から2014年まで17年間のうち、陰線が11回で1月に並んで突出して多く、そして夏場はバケーションシーズンということもあって例年ボラも低くなります。今ドル円取引をするよりは前述のユーロや動きが出てきているポンド(直近財務相不信でポンド売り)等、ボラが見込める通貨での夏相場トレードをメインと考えて見ています。
当レポートは今週木曜日発行の会員向けレポートから抜粋したものになります。
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