またFOMC声明や議長発言を見ると、今回一番強いメッセージとして受け取られたのが「利下げはしない」という頑な?意志です。直前にはベッセント財務長官が「2年債利回りとFF金利が逆転する逆イールドの状態はその後過去景気後退に繋がっているから、利下げをすべき」と発言しており、トランプ大統領もかなり強い言葉で利下げをしないパウエル議長を非難していましたが、今回の利下げをしないという強いメッセージについては、こうした政治的圧力に屈しないという姿勢なのかもしれません。ただ、インフレ率が高まり、失業率も高まっているという非常の不安定な状態と見られるので、何かをきっかけにガラッと方向感が変わるかもしれません。
いずれにしても6月の利下げ思惑は打ち消されましたが、7月以降についてはまだ未知ではあります。ただこうした先行き不透明感が利下げが遠のき円ロングが解消されやすい中でさほど動きが出ない理由になっているのかもしれません。
その他を見ると、5月3日に投開票が行われた豪総選挙は、与党・労働党が過半数を獲得し勝利しました。与党は物価対策に重点を置き、減税や高騰した住宅を若者が買いやすくする制度など経済的負担を和らげる公約を打ち出したことが奏功し、21年ぶりとなる首相が2期目を担うことが決まり歴史的な勝利と報じられています。政権安定を背景に豪ドルは対ドルで200日線にタッチするまで上伸してきました。各国で政治不安や右傾化、左傾化が懸念される中、中道左派で極論を排除した選挙結果になったオーストラリアが安定的な政権運営で今後どのように経済が展開されるか非常に注目です。
当レポートは今週木曜日発行の会員向けレポートから抜粋したものになります。
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