先週から今週にかけてのドル円相場は、債券利回り上昇・債券価格の下落と、国債の評価損など日米欧の債券不安によるリスクオフ相場が円買いを助長し142円台まで円高が進むも、週初はEUへの関税延長に同意したことでリスクオンに。そして財務省が20205年度の国債発行計画の見直しを検討すると報じられたことで、長期国債の需給面の懸念後退によるドル買い、その後米景気減速懸念後退の流れ、そして米国の裁判所がトランプ米大統領が発動した関税を違法だとして阻止する判断を下したことで、一旦146円台まで買い戻されています。(この判決に米政権は即控訴)特に急ピッチの買いの背景には、月末要因と大きくドルショートに傾いていた相場の偏りも一因だったことが予想されます。
こうした近々の動きを受けて、ドル円週足チャートを見ると、今週は今の時点で陽線つつみ足になっています。この1,2年の週足チャートを見ていただいても分かるように、割と頻繁につつみ足は出現していますが、ダマシらしいダマシは1つぐらい(24年4月28日の週の陰線つつみ足)後はそれらしい動きが展開されていており、精度は決して悪くありません。そのつつみ足が出現ですから無視できません。
今月はこのまま陽線つつみ足で引ける可能性が非常に高い。そして6月相場を迎えることになりますが、関税延長措置等を取っていることで広がっていた安心感もドルロングの一因だったはずが、30日にトランプ大統領がプランB(150日間最大15%関税)を検討していると出たことで、また相場はリスクオフに傾斜と振り回されています。トランプ大統領は30日13時半(日本時間31日午前2時半)に記者会見を行うと発表しており、この内容に警戒しながら5月相場が引けますので相変わらず油断が出来ません。
とはいえ、目先の動きは4月の月足のローソク足でもある140-150円の間での動きが現実的となりそうで、158円から139円まで下げた38.2%戻りが147円台、50%戻りが149円台ですから、21日線を主軸にしてディトレメインですが、広がった後のボラは収縮しそうな雰囲気ですから値幅を欲張らずに。
当レポートは今週木曜日発行の会員向けレポートから抜粋・加筆したものになります。
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