2024年のドル円相場は、1986年以来の一時161円まで上昇する円安相場になりました。1985年がプラザ合意ですから、それを境にドル円相場が円安から円高に反転していく過程での水準にあたります。しかしそれから1カ月半で一時140円台割れ示現となり、短期間で13%も下げる波乱含みな展開を経て、現在再び157円まで上昇してきました。今週末にかけては欧米勢の一部が、新年最初のポジション設定に入ってきます。利上げは急がないという発言を起点にここまで円安が進んできましたので、日本の正月休みの間に160円乗せもあるかもしれません。
160円乗せとなると本邦当局の介入懸念が浮上するかもしれませんが、一部の報道ではレバレッジドファンドではドル円相場に対し強気に転じ、今後数カ月で最大5%の上昇(165円の円安設定)を見越したポジションの設定を急いでいると報じられました。財務相・日銀が円安に対して懸念を示してはいるものの、今のドル円相場は全く気にせず上昇しています。挑むようにドル高が進むも、160円を超えたら当局も姿勢が強くなると想定されます。160円を超えてきそうであろう年始早々に介入動向が警戒されるような相場地合いがあるかもしれません。
その他の通貨を見ると、今年一年は各中銀利下げで金融緩和方向だった中、現状の引き締め維持で孤高を保った豪中銀が、24日に公表した議事録の中で「インフレの持続的な鈍化が見られれば2025年序盤に利下げを検討する」と利下げ示唆となりました。豪ドル円は現在100円を割り込んだところで小動きとなっていますが、月足で見ると高値水準に維持していることが分かります。とはいえ次の理事会は2月17-18日とかなり先になりますのでまだ時間の余裕があります。ただCPIが前月・前年より鈍化となると一気に利下げ期待が高まりますので、CPIを手掛かり材料に豪ドルにも注目です。11月のCPI公表が1月8日、四半期CPIの公表が1月29日です。
今年は昨年暮れに想定していたよりも米緩和が少なく、円安が強いままでした。2025年はどうなっていくのか、年始にまとめてみたいと思います。今年も1年ありがとうございました。よいお年をお迎えください。
※当コラムは、木曜日発行の会員向けレポートより一部抜粋しました。
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