11月はトランプ波乱で大きく下がり不安感が台頭しましたが、12月に入って中国が来年は一段と景気底入れを進めることを表明して金融市場全体の雰囲気がガラッと変わっています。加えてドル円相場は直近で来週行われる日銀金融政策決定会合において利上げは見送られるのではないかという報道からドル円は152円台まで買われています。この上げに初動で乗ったならともかく、乗りそびれているのなら手控えて良いのではないかと思います。利上げする、しないといった思惑は来週にかけてまた出て来るでしょうし、記事の内容に対して反応がやや大きすぎる印象です。テクニカル面で見ても、21日線と200日線が再びデッドクロス寸前の動きですから、200日線をしっかり抜けてからでも良さそうですが、今年の相場は来週で実質終わり、欧米はクリスマス休暇に入っていきますから、短期的なポジションを狙うにしても無理をするところではありません。
来年はいよいよトランプ大統領が再登場してきます。中国は現在の経済状態と、トランプ大統領の対中政策を見据え2011年以来の金融政策方針を適度に緩和的に変更し、積極的な下支えをすることを12月9日の中央政治局会議で示しました。加えて人民元安容認を検討していると報じられたことで人民元、豪ドル、ユーロ、そしてアジア通貨が連れ安になっており、これもドル買いの一因になっています。これから1月20日の就任までの間、またそれ以降の米政策発動に向けて、人民元の切り下げなども警戒し、再び人民元基準値が毎朝の注目材料になるかもしれません。
ドルはまだまだ主役だと思いますが、ドル円でのドル買いを見るのではなく、引き続きユーロドルでのドル買いをメインに見ています。ユーロ圏は二大大国の仏独ともに政権が崩壊しています。仏は今週にもマクロン大統領が新しい首相を指名する予定ですが、そもそも支持力低下の中期待が持てません。独は大企業の大幅人員削減が多く、2年連続マイナス成長と経済鈍化が酷く欧州経済の足を大きく引っ張っています。もうしばらくユーロは売られやすい通貨であると考えます。
※当コラムは、木曜日発行の会員向けレポートより一部抜粋しました。
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