第2次トランプ政権が発足しました。当初は円高に進んでいましたが、「2月1日にメキシコとカナダに25%の関税を検討」という方向性で一気にドル高へ。今後円高か円安か、どちらにトレンドが固まるのかは不確定要素が高くまだまだ見えません。
就任と時期を同じくして1月20日から24日まで、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)が開催中です。各国首脳からは早速トランプ大統領の保護主義貿易、関税強化へのけん制といえる発言が続いており、各国とも何が飛び出してくるのか恐々としている雰囲気です。
そして当のトランプ大統領は23日にオンラインで当会議に出席し、「原油価格が下落している今、金利の即時引き上げを要求する。同時に世界中で金利が引き下げられるべきだ」と発言しました。第1期トランプ政権でもFRBと議長に対する緩和示唆攻撃が強かったですが、再開です。現状においてはトランプ大統領は利下げ、ドル安方向スタンスが見えました。
一方日銀は24日の金融政策決定会合で25bpの利上げを決定し、政策金利は0.5%となりました。2008年以来17年ぶりの水準です。今回の利上げについては事前予想も利上げ確実視で織り込んでいただけでなく、前日から「確定」報道まで伝わっていました。事前に確定報道が出る金融当局ってどうなのでしょう・・・。それはさておき、相場の動きは最初は織り込みでポンとドル買いになりましたが、日銀の声明の中でインフレ見通しを引き上げていることが分かり、一気にドル売り、株売りの動きになりました。日銀の結果公表が12時23分で、後場の株式市場は300円超高でスタートしていましたが、13時27分にはマイ転、そのまま戻らずに大引けになりました。(このコラムを修正している1月24日15時30分現在、植田総裁の会見がスタートしていますので、また新たな材料で相場の雰囲気が変わるかもしれません)
その他の国の金融政策の方向性で注目しているのが豪ドルです。昨年は多くの先進各国で金融政策を大きく変更して利下げにかじを切っていきましたが、オーストラリアは年間通して4.35%を維持しました。それが12月の金融政策会合でインフレの持続的な鈍化が見られれば2025年序盤に利下げを検討と遂に利下げ示唆を示しましたが、インフレ動向を見る10-12月CPIの公表が来週29日に控えています。前々回4-6月期が3.8%、そして前回7-9月期が2.8%と直近は鈍化傾向です。その流れが続いていると確認される数値であれば利下げ期待思惑が膨らみそうです。
現在の豪ドル円は96-98円の水準で小動きになっています。98円あたりには一目均衡表の雲の上限、そして90日線と重なり強い上値の壁になっています。昨年は月足でも週足でも2度ほど高値圏で陰線つつみ足となっており、長期で下方トレンドが強まりそうな雰囲気ではありますが、まだはっきりした動きが出ていないので注目です。
※当コラムは、木曜日発行の会員向けレポートより一部抜粋・加筆しました。
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