1月29日は2025年最初のFOMCでしたが事前予想通り金利は据え置かれ、特段大きな材料にはなりませんでした。政策金利は4.25-4.50%で4会合ぶりの据え置きです。
パウエル議長は会見で、現状の金融政策について、労働市場はバランスが取れており、金利はまだ引き締め的だがインフレは低下しており、今の状況を急いで変える必要はないと発言しました。市場も冷静に受け止め、当面は金利が据え置かれると予想されます。注目点はダボス会議でのトランプ大統領の発言「私はパウエル議長よりも金利を理解している。金利は引き下げるべきだ」というインフレ抑制、金利引き下げ要求についてどう思うか?ですが、パウエル議長はこの大統領の発言についてはコメントしないとしました。
総じてサプライズがある内容ではありませんでしたが、今後は経済指標の変化とトランプ発言の2つが金融政策の方向性を示す大きなカギになってきます。目先はトランプ大統領が示唆した通り、2月1日にメキシコとカナダからの輸入品に25%の関税、中国からの輸入品には追加10%の関税方針を示しています。
そのカナダですが、同日25bpの利下げを決定しました。利下げは去年6月以降6会合連続となりました。またインフレの抑制に向けて国債などの金融資産の保有を減らしていく量的引き締めを終了し、今年3月から金融資産の購入を再開(量的緩和)することも明らかにしました。トランプ関税に強い警戒を示し、カナダ経済の見通しの不確実性を憂慮し早めの対策を押し出しています。
カナダは先般、2015年から政権を率いたトルドー氏がインフレ対応等への不満から支持率低下を受け辞任し、現在政治空白となっています。3月9日にトルドー氏に代わる党首選を実施する予定で、候補者2名はいずれもトランプ関税に対して強力な報復措置をとるという姿勢です。
カナダは輸出品やサービスの75%を米国に輸出しており、最大の原油供給国でもあります。米国の2023年の石油輸入の半分以上がカナダからであり、同国はこうした製品の供給制限や関税賦課で対抗するのではないかと想定されます。報復とはいえ同国の経済打撃も大きく、カナダドルはじり安の動きとなっています。
※当コラムは、木曜日発行の会員向けレポートより一部抜粋・加筆しました。
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