2月相場が始まり、警戒された関税戦争は、カナダとメキシコへの関税を1カ月延長、中国への10%は予定通りでスタートしました。カナダドルは週初、関税警戒で大きく下げてスタートしましたが、その後いったん延長で窓埋めしたものの、経済減速警戒もあり軟調です。
ドル円相場も2月5日に12月17日以来の154円割れ以降円高が進み、2月6日の日本時間前場には田村審議委員のタカ派発言でさらに円高が進行し、一時151円台を付ける動きになりました。
田村審議委員の発言で円高起因となったのが「中立金利は最低でも1%程度と見ている」「25年後半には少なくとも1%程度まで短期金利引き上げておくことが物価目標の達成の上で必要」というもので、本邦短期金利上昇に伴う152円割れのストップを巻き込み、一気に151円台まで急騰となりました。いったん戻して現在152円台ですが、日銀が一段のタカ派、追加利上げへの布石を打っているような雰囲気です。とはいえ日銀追加利上げの思惑での円高進行は、3月の日銀会合が18-19日とかなり先になるので、時間的な猶予がありそうです。
ドル円の日足の一目均衡表を見ると雲を下に突き抜けてきました。1月20日にトランプ大統領が就任して以降ここまでの相場の動きは円高基調です。関税戦争に加え地政学的リスク、日銀の利上げなど理由は違えど、2017年の第一次政権の時と同じドルの動きになっています。また週足の一目均衡表では雲が下値を抑えていますが、この直近で薄い雲を下に割り込む動きになってくると、今度は上値を抑えてきますから、週足のチャートの変化にも注目しています。
その他の通貨では今月利下げが予想されるのが豪中銀です。1月29日に発表された10-12月期CPIは予想を下回り、コアインフレも減速してきました。インフレターゲットの2-3%に近づいたことで、利下げの土壌が揃ってきたという見方が支配的です。今年最初の会合となる2月18日に約4年ぶりの利下げが見込まれ、豪ドルも軟調地合いです。
※当コラムは、木曜日発行の会員向けレポートより一部抜粋・加筆しました。
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