今週発表された日本の第3QGDPが堅調だったことから日銀の追加利上げ期待が強まり、20日の午前には国債利回りが1.440%に上昇し2009年11月11日以来の高水準となり、円相場は150円台まで下落しています。(さらにNY時間には150円割れを示現)加えて金融市場はトランプ大統領が来月自動車関税政策を発表すると発言していることから警戒感(嫌気?)が台頭し全体的にリスクオフ基調となっています。トランプ大統領はそのほか半導体、医薬品、木材、その他の品目に対する関税も発表するとしており、2月1日から施行予定だったカナダ、メキシコに対する関税の行方についても再び取り沙汰されていくであろうことから、3月相場に向けては警戒感の手控えムードが強まる可能性が濃厚です。
加えてトランプ大統領がウクライナ戦争終結に向けて動く中、ウクライナ大統領を批判し、米ソだけで終結に向けた協議をしているように見えることから、米国と欧州各国の雰囲気悪化を感じさせる面も、不透明感でリスクオフに輪をかけている状態です。
さて、今週は予想通りの利下げが相次いでいます。18日にはRBAが2020年11月以来4年3カ月ぶりに25bpの利下げを実施し、政策金利を4.10%としました。追加利下げについては言及せず、現状では次回は据え置き予想です。
19日には隣国NZが4会合連続の利下げを決定。今回は予想通り50bpの利下げを決定し、政策金利は3.75%となりましたが、前日の豪や前回の米国と異なり、年前半で2回の追加利下げ(各25bp)を示唆するなどハト派な内容の声明となったことから、売り先行となりました。また来週は韓国中銀も利下げを再開するのではないかという見通しが強まっており、日本だけが追加利上げと気を吐く中、他国は緩和策への転換が一段と強まっていますので、こうした動きもリスクオフの中で円が買われやすい要因になりそうです。
今週末はドイツ総選挙で政権交代が予想されています。3月に入ると6日にECB理事会と、ユーロを取り巻く材料が増えてきます。4会合連続利下げを実施しているECBが今回追加利下げをし、以降の見通しについては一旦据え置くかどうかが議論の中心になるのではないかと思われています。欧州主要国の政治の変化やウクライナ停戦協議の行方など踏まえ、どのような声明が出るか注目です。
※当コラムは、木曜日発行の会員向けレポートより一部抜粋・加筆しました。
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