月初恒例になりそうな、関税発動。3月4日にカナダとメキシコに対して25%の関税を見送ることなく発動し、さらにはウクライナへの軍事支援の停止を命じるなど、市場が先行き不透明感で慌てる地合いが続きました。ただ5日には発動したカナダとメキシコに対する25%の関税賦課について、自動車への適用を1カ月免除すると発表。他にも例外措置を設ける可能性があると姿勢をやや軟化させた。これで関税戦争不安が幾分和らぐも、こうした繰り返しはトランプ大統領が就任して以降取り沙汰される駆け引きですからただ振り回されるしかありません。一方、意外な矢が放れたのがドイツです。
3月5日、ドイツの与野党は財政赤字を一定の規模に抑える「債務ブレーキ」の緩和で合意しました。メルツ次期首相候補は大規模財政改革の一環として5,000億ユーロの特別基金設立を発表。GDP比1%以上の防衛費を支出する際は憲法上の債務ブレーキの対象外にすると提案し、独国債金利が急騰し、強いユーロ買いになりました。前日にはフォンデアライエン欧州委員長が、欧州の防衛力強化へ向けた資金確保を目指す計画を言及していたことで、国防費などが膨らめば将来的に債務負担が増すとの観測も、ドイツ国債の売り、利回り上昇につながったようです。
この動きを受けて3月6日の東京市場でも国債利回りが上昇。10年債利回りは1.500%に上昇し、15年9カ月ぶりの水準となりました。ユーロ高、円高地合いです。
ユーロドルは独国債利回り上昇の動きを受けてユーロが急騰し、1.0400付近から一気に1.08205まで吹き上がりました。ドル円相場も今週週足での陰線つつみ足がほぼ確定です。ユーロ高、円高、ドル安というトランプ大統領が求めるドル安傾向にしっかり向かっています。
関税戦争は当初からの懸念通りですが、今週はトランプ大統領が日本円の円安に対して言及したことが重要です。今回の就任以降、ここまではっきりと円安に対する不満を示したのはこれが始めてですから、改めて円安終焉、円高傾向に変わっていく流れがハッキリしたと踏まえて今後の動きを見て行って下さい。
※当記事は都合により3月6日(木)に執筆したものです。
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