先週からの流れを引き継ぎ、ユーロ急騰、ドル売りを背景にドル円相場も148円ミドルにあった下値のサポートを割り込んで、今週一気に146.53迄円高が進みました。直近は一旦円高の巻き戻しで148円台を付けていますが、21日がミリ下がりのレジスタンスとして機能していますので、近づいたら絶好の戻り売りポイントとの1つとして注視しています。
来週はFOMCと日銀金融政策決定会合を控えていますから、神経質な動きになりそうです。FOMC、日銀共に今回は据え置き予想ですが、植田総裁は直近でも利上げスタンスについて理解を求めるコメントをしつつ、必要であれば追加買い入れも検討すると示唆し、マーケットとの会話を以前より慎重に行っている印象です。
一方アメリカは、直近で公表された2月CPIが前月比+2.8%(予想+2.9%)と5カ月ぶりに伸びが鈍化し、インフレ拡大懸念後退となりました。ただ、本格化してきた貿易戦争による関税の影響は、まだ2月のCPIには反映されておらず、3月以降はこの影響を受けた数字が出て来ることが警戒されます。関税は当然物価にも影響してくることから注意したいのが、今、アメリカ国民のクレジットカードによる借入が過去最大を更新したことが話題になっています。米国のインフレ上昇に伴い、近年はずっと借入は上昇の一途ではありましたが、さらに上昇しており、中間層以下貧困層は日々の生活における厳しい状況がさらに続く、強まっていきそうです。
その大きな要因の1つ、貿易戦争は、米国が鉄鋼、アルミニウムに対して追加関税を発動し、EUとカナダが対抗措置を講ずること発表。前回のトランプ政権の時の鉄鋼、アルミニウムに対する関税については日本は例外措置を取られていましたが、今回はそれも解除されています。日本はこうした外交問題に今の政権が対応できるのか・・・これも今の米政権が望むドル安円高の流れの一助となる方向が警戒されます。
現在最強通貨となっているユーロは対円でも堅調な動きで、174.42の直近最高値からの右下がりの抵抗ラインを直近で上回ってきました。週足MACDもゴールデンクロスしています。ユーロ豪ドルでも1.70前後の高値の節目をポンと抜けてきました。目先は米ドルから少し離れ、ユーロクロスの通貨ペアの取引でユーロ買いを繰り返すのも一考です。
当レポートは今週木曜発行の会員向けレポートから抜粋・一部修正したものになります。
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