1月に就任するアメリカの新政権の顔ぶれが続々と報じられていますが、中でも対中・新台で対中国強硬派のマルコ・ルビオ上院議員が国務長官に正式に内定し、本人の声明の中で「平和を力で実現する」と実にらしい非常に強い内容が報じられました。その他強硬や対中論者で固められそうな中、中国は上昇機運が一気に後退し中国売り、そして日本売りにつながっています。米債利回りも上昇している為替市場全体の中でドルだけが独歩高。新興国通貨は軒並み難しい状況になっています。対中関税引き上げに加え、国内減税となると再びのインフレ警戒などもあり、ドルだけが買われる状況で、ドルは現在4カ月ぶりの156円台に乗せてきました。大台160円が目前です。
13日に発表されたCPIも落ち付いた内容で、引き続き12月FOMCでの25bp追加利下げは既定路線ですが、利下げを織り込んでなお強い米ドルの動きです。来週末は感謝祭ウィークを控え、一旦の調整があるとしたらそこは押し目買いチャンスがあるかもしれません。ただし、政府・日銀の動向には警戒を。ただ、こうした警戒をするのならば、同じドルを狙うのでも個人的には一段安が続くユーロドルでのユーロ売りドル買いで昨年の安値1.04台狙いのほうが妙味を感じます。特にユーロは現在経済の足を引っ張る大国ドイツの左派政権が崩壊の一途です。来年2月に総選挙実施が前倒される公算ですが、現在の左派からメルケル前首相が率いた中道右派を飛び越え、極右政党の躍進が警戒されています。先般のフランス選挙も極右の躍進をギリギリで左派が連合して止めたという動きがありましたが、同じく欧州のイタリアは2022年に極右政党が勝利し、メローニ首相が誕生。当初は非常に警戒されましたが、短期政権が続いたイタリアですでに2年政権を握っており、現実的で実用的な政権であると評価が高まっていますから、この流れでドイツも動く可能性があります。ただそれは2月ですからまだ先。今は欧州全体の評価的にも米国の欧含む関税引き上げを警戒した売りに押されそうな展開です。今はもう少しユーロ売りに乗っていけるのではないか。
その他の通貨を見ると、中国経済が再びの鈍化懸念が強まる中動きが膠着していますが、今手出しをする材料がありません。アメリカ隣国でアメリカの上昇の恩恵を受ける期待からカナダドルは上昇機運で7月以来の200日線を上回ってきました。クロス円の出遅れで円売りをするのならカナダドルも一考か。
※当コラムは、木曜日発行の会員向けレポートより一部抜粋しました。
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