横尾寧子のFXのはじめかた

 先週20日のNY時間に米財務省が半期に一度の為替報告書(2023年12月までの為替動向から判断)を公表しました。その中で日本円について監視対象としたことが注目され、ドル円相場は「米財務省が監視対象にしているからうかつに介入できないのではないか」という思惑を背景に再びドル円相場は上昇し、6月28日には161.27まで上昇し前回高値を更新しています。今回の為替報告書は昨年までの動向を前提にしていることから、今年の4月29日、5月2日の史上最大規模の為替介入は加味されていません。ただ、介入を容認しているわけではないことから、さらなる介入に懐疑的であるという思惑があるものの、高値更新のドル円相場に対して本邦財務省からもけん制発言が出ていますが、高値をじりじりと切り上げていくことになると、介入せずと判断され一段高になる可能性も。神経質な展開が続きそうです。

 また為替介入の実行者として連日報じられてきた国際部門トップの神田財務官は7月31日付で退任し、後任は三村国際局長が昇格となる人事が発表になりました。

 先週のレポートで欧州議会選挙の結果フランスの政情不安が出てきたと取り上げましたが、今週は週初からそれを要因に金融市場全般が大きく波乱含みになりました。フランスの政情不安をリスク要因としている割には時差があり、ややそれを波乱の「理由付け」とした印象を持ちましたが、6月30日に控える1回目投票、7月7日の決選投票に向けての注目度が俄然増してきました。選挙結果によっては「EU離脱か」といった極論も出始めていますので、フランス同様に極右の躍進で与党の弱体化が目立つドイツをはじめとした他国も動向に目が離せません。

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 政治余波は各国選挙に及ばず、あまり金融市場で大きく材料視されることのなかった欧州議会選挙が今年は大荒れとなり、ユーロが対ドル、対ポンドで大きく下げて窓開けとなりました。対ドルは12日の米CPIが軟調だったことで大きくドル売りに傾斜し、窓埋めとなりましたが、対ポンドでは窓が開いたままです。とはいえ、ポンドも買い材料になるものがないため、窓埋めを狙ったポジションは取りづらいですね。選挙を経ての利下げが確実視されていますが、その前に仏が30年ぶりの解散総選挙となりましたので、ユーロの先安不安のほうが台頭しそうです。

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 2024年の選挙イヤー、最大の山場が11月の米大統領選挙ですが、その前に世界各国で多くの総選挙が行われており、直近も3つの新興国の選挙で相場が大きく荒れました。

 5月29日南アフリカ総選挙。結果、アパルトヘイト撤廃から30年で初の与党過半数割れ。連立協議へ。交渉相手は白人中心の第2党、ズマ前大統領率いる第3党を含む5政党と協議しているが政治の空白・不透明感でランドは下げ、5月の高値から直近まで5%強の下落。

 6月2日メキシコ総選挙。結果、与党3党が勝利し、初の女性大統領の誕生となったが、場当たり的なインフラ投資や国有企業優遇など現政権の流れを踏襲するというスタンスから、財政悪化への警戒感が広がり、投票後は株・為替・債券のトリプル安となる。ペソは安値を付けて一旦持ち直しているが、選挙をトリガーにしてメキシコペソの潮目が変わったという印象が拭えない。

 6月4日インド総選挙。結果、与党過半数との第一報でインド株は史上最高値を付けるも、結果を見ると過半数割れでモディ政権の求心力低下が浮き彫りになる。インド株は一転して一時8%を超える急落、為替・債券も同様に上昇から一転急落に。

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 イギリスは7月の総選挙に向けて、下院が解散しました。いよいよ選挙期間に突入です。このイギリスの解散総選挙のスケジュールを受けて、ポンドに台頭していた利下げ懸念が後退し、ポンドは対円で2008年8月以来となる200円台乗せとなりました。2008年8月といえば、リーマンブラザーズが破綻する直前です。円キャリートレードの人気が終焉し、最高値の251円の急落から小反発した局面でした。まさに今の円キャリー相場のように、当時もドル円、クロス円が全般的に買われる凄まじい円安局面でした。今と当時ではFXトレードの知名度に圧倒的な差があり、レバレッジ400倍などといった投資を勧める業者も多くいたことから、かなり投機的で怪しい印象の強い金融商品の位置づけでしたが、それでも円を売れば儲かるということで多くの人がハイレバで外貨を買って、その資金全てを溶かしてFXから撤退するようなことが相次ぎ、レバレッジ規制に進むきっかけになった頃で、多くの人が溶かした通貨の代表がこの英ポンドです。それから16年ぶりの200円乗せと非常に堅調な動きになっています。

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 GW期間中に日銀の介入(とおぼしき)行動があり、以降ドル円相場は155円を挟んで小動きになっています。2回にわたる円買い行動が見られましたから、一段の介入警戒感で買い上がりづらい状況です。加えて直近では介入に続いて円防衛で日銀も政策行動を行うのではないかという見通しも踏まえ、長期金利は11年ぶりに1%台まで上昇してきました。これは円サイドの見通しですが、反面ドルサイドは高止まりしているインフレを背景に、FRB要人発言は利下げ開始時期の後退を示唆する発言が続いています。FRBが注視するPCEデフレーターの発表が5月31日にありますが、すでにこれだけ発言が出揃っている以上、実質年内の利下げは無いと踏まえてドルは底堅い展開になりそうです。ただ円安も受け入れがたい水準と日本当局が見ていることも分かるように、強弱が難しく膠着が続きやすい地合いになってきました。

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 15日公表された今週最大注目の米4月CPIは前期比が予想+0.4%に対し+0.3%、前年比が予想と変わらず+3.4%、コア指数は前期比+0.3%、前年比+3.6%という結果になり、年初1~3月にかけて見せてきた想定を超えたインフレ成長が収まる兆しがうかがえる数字となりました。とはいえまだ依然として高止まりの状態ではありますが、どんどん後ずれしている利下げ期待が再燃したことは言うまでもありません。ドルは全面安、そして利下げ期待から米株が急騰して4万ドル目前という動きになっています。インフレについては引き続き再注目事項ですので、FRBが重要視しているインフレ指標であるPCEデフレーターに注意してください。(4月PCEデフレーター公表は5月31日)

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 4月26日の日銀金融政策決定会合が無風通過だったことから警戒された円安進行は、29日(日本は祝日)には160円を突破する続伸となり、その日の13時以降から介入とみられる円買いで一時155円まで値を消しました。ただこうした介入は買い場を与える動きになり、反発してその後5月1日には158円をうかがう展開になり、5月2日のNY株式市場が引けた直後の早朝5時過ぎに再びの介入で153円、そして3日に公表された米4月雇用統計が鈍かったことで米ドル売りがさらに進み、一時151.87まで一気に週内で一気に10円近い下げ示現となりました。

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 ドル円は155円を目前にもみ合いが続いていましたが、4月24日に155円を突破し、1990年6月以来の高値となりました。円安警戒水準は日々切り上がっている様相ですが、アメリカの経済が堅調で追加利上げもささやかれる現在、介入の効果の是非を問う声も少なくなく、相場の動きは日本政府・日銀に挑戦するかのように一段高に向かい、160~170円ゾーンが目安という見方も現実味を帯びてきました。明日、26日の正午前後には日銀の金融政策決定会合の結果公表が予定されています。先般マイナス金利解除を決めたばかりですから今回は特段の政策変更は予想されていませんが、26日の公表以降、GW期間中に介入があっても水準的にはおかしくありません。(追記:4月26日の日銀金融政策決定会合は12時22分に現状維持公表。ドル円相場はその後156円台乗せ。)

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 円相場が一段の円安に進んでいますが、岸田首相の訪米に続き現在ワシントンでG20の財務省・中央銀行総裁会議が行われているため、植田総裁、財務相はワシントン出張中です。また初の日米韓財務省会合も行われ、円安・ウォン安が進む為替市場についての意見交換が行われたと報じられています。くだけて言えば鈴木財務相がイエレン財務長官に為替介入の了承を得に行った?という感じでしょうか。関係者の帰国は21日とのことなので、今週は介入等の行動は無いと思いますが、来週も日銀会合も控えているので、その前の介入に対しては消極的かもしれません。そもそも、アメリカ側がインフレ抑制に遅れが出ており、一部では追加利上げなんて思惑すら聞こえてきている昨今ですから、介入の効果も疑わしいところです。ウォン安の懸念を示している韓国との協調介入等々、単独ではなく協調介入が出来ればインパクトはあるかもしれませんが、今は介入よりも日銀の政策変更のほうがリアルかもしれません。今週の報道では、米銀各社でドル円相場155円が防衛ラインと揃って見通しを示していました。155円に乗れば皆が政府・日銀を(というか神田財務官)を見て行動しだすということなので、心理的にも非常に重いラインになりますね。

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