先週末の仏下院選挙第1回投票で極右が勝利したことで、週明けのユーロは上に窓開けしてスタートしました。今週末に決選投票を控えていますが、極右政党の国民連合が勝利することは間違いない路線となっています。そうすると極端に右傾化するかといえば、かつての国民連合(変更前に党名は国民戦線)であればそうであったかもしれませんが、2018年現在の国民連合に改名し、昔に比べたらソフト右路線ですから「極右」と言われて思い浮かべるイメージよりはライトな雰囲気になっていますが、それでも中道左派のマクロン大統領と、内政が極右政党となるので混乱は否めないと警戒されています。選挙後にはパリ五輪の開幕を控えていますが、テロリスクは高まる=リスクオフが発生するリスクがあると念頭に置いてのトレードが必要です。
それでも欧州の変化を為替市場は歓迎した動きになっており、直近でユーロ円は174円乗せまで上昇し史上最高値を連日更新しています。
また先週取り上げた豪ドルも堅調で、今週は108.50まで上昇し、91年以来約33年ぶりの高値更新となっています。108.10-50にかけてストップ売りが散見されていましたが、それをこなして高値で値を保っています。
対して米ドルは軟調な経済指標を受けてやや鈍化しています。3日に発表された6月のISM非製造業景況指数は予想52.5に対し、結果48.8で2020年5月以来約4年ぶりの低水準でした。また好悪分岐点の50も割り込み、インフレ緩和傾向を感じさせる内容だと判断され、再びの利下げ期待の台頭です。今回はこの結果を受けての9月利下げ期待が強まる形になり相変わらずこうした思惑が繰り返されています。
ただ先のユーロもそして米ドルも、過去の長期チャートを見るといずれも6-7月に高値を付けてきました。ユーロ円はこれまでの史上最高値を付けていたのが2008年7月、ユーロドルも2008年7月、ドル円は円キャリー相場のピーク124.10が2007年6月、アベノミクスのドル円上昇の最高値125.85が2015年6月です。秋波乱の前に高値を付けてきたのが過去ですが、今回はどのようになるのか?米大統領選挙もトランプ優勢とはいえ、量刑言い渡しは9月に延期され、これもまた秋の波乱要因の1つになるかもしれません。
※当コラムは、木曜日発行の会員向けレポートより一部抜粋しました。
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