16日、米パウエル議長による「米政権の関税措置による経済への影響は予想を大幅に上回る」という発言を受けた早期利下げ期待後退による米株売りのリスクオフの流れを受けて、ドル円は一時141円台まで急落しました。141円台を付けたのは、昨年9月30日以来です。
その後は日米関税交渉への警戒も強まっていましたが、その関税交渉で最も警戒された為替相場について「今回は為替の議論は無かった」と報じられ、一旦安心感から142円台まで買い戻されています。為替については引き続き次回(月内)の交渉の席で取り沙汰されるというのが大勢ですが、現在の140円台も恐らく高く、まずは120-130円台を求められるのではないかという見通しが強いです。(ちなみに第一次トランプ政権の時は110円前後で長期間推移)
ドル円は引き続き下方トレンドを警戒して戻り売りスタンスですが、今月は4月月初から一時10円近く大きく下げましたので、もう少し戻りに警戒を。売却し損なっている長期のドルロングポジションがあれば、いい売り場になりそうです。
この軟調なドルに対して、ユーロは引き続き非常に堅調です。対ドルでは直近で1.147台の高値を付けて、2022年以来の高値水準まで上昇しています。このドル安で第2のキーカレンシーであるユーロの上昇は第一次トランプ政権の時同様で、その当時のユーロ最高値は2018年の1.255台です。前回就任した2017年当時からのユーロドルの上昇相場と非常によく似ており、引き続きユーロが上昇しやすいトレンドが継続しやすい環境です。このユーロドルのユーロ高を背景にユーロ円も堅調な動きで、他のクロス円のチャートと比較しても底堅さが際立っています。
そろそろ来週は日本勢がGWを意識しだすタイミングですが、日銀の金融政策決定会合は4月30日-5月1日で開催されますし、世界中が関税戦争の最中政権運営を掛けた総選挙を控える国々も多く、4月28日(月)はカナダ総選挙、5月3日は豪総選挙と1週間に2国も選挙が予定されています。大きな激変は予想されていませんが、月初は新たな関税を発せられたりトランプ砲が出やすい時期ですから、今回のGWは報道に特に注意して過ごしましょう。
当レポートは今週木曜日発行の会員向けレポートから抜粋したものになります。
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