既報の通りですが、7月11日の米6月CPI発表直後の日本時間の21時半過ぎに突如ドル円相場が急激な円高となりました。その時はCPIを見て、今週強まっていた9月利下げに向けての動きが出たのかと思いきや、一気に4円円高になり、その後政府関係者から介入を示唆する発言が出たことで日銀の介入と確認されました。円相場につれる形でクロス円も総じて円高になり、ユーロ円、豪ドル円、NZドル円、カナダドル円、スイスフラン円は高値圏で週足現時点では陰線つつみ足となっており、この中で12日の午前には日銀が「ユーロ」に対してレートチェックを行っていると報道が出ています。ユーロ円は11日に175円まで上昇し史上最高値を更新していましたので、対ユーロでも為替介入を辞さない姿勢を示すことで、ドル以外の通貨に対しても投機的な円売りを防ぐ狙いがあると報じられています。ユーロ発足の1999年以降の当局の介入はドルに限られていますので、もしユーロに介入ということになると史上初です。ユーロのレートチェックというのもこれまでありませんでしたから、こうした口先介入での抑制を求めたいところでしょうが、その後のユーロの動きは発言が効いておらず11日の下げを戻すべく堅調な動きになっています。
今回の介入を指揮した神田財務官は今月末で退任されますが、これまで財務官に就任されて3年間、かつてない円安相場の中で円買い介入が行われました。今回についてはCPIの内容を周知していたかのようなタイミングに驚きが隠せませんが、加えてユーロもターゲットにして投機抑制を進めるとあれば、月末最後まで何が起こるか分かりません。なお、ドル円相場についてのレートチェックは22年9月に報じられ、その1週間後に日銀がドル円の円買い介入を実施しました。
このタイミングで日本は今週末3連休です。日本人が見ていない時に(介入に)入るのが多いのですが、さすがに昨日の直後にとは考えにくい。とはいえ注意したい夏相場に入りました。
※当コラムは、木曜日発行の会員向けレポート原稿を金曜日に差し替え抜粋しました。
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