超円安トレンド終焉か2024.07.19

 先週末は日銀が11、12日連続で合計5兆円超の日銀介入を実施したことが報じられ、ドル円相場は161円台から一気に157円台まで下落しました。さらに週末にはトランプ元大統領の襲撃事件を受けて大統領選挙の予想が「トランプ大統領当選」で一気にもしトラが現実的に。そうした中で今度は日本側から17日に9月の自民党総裁選で次期総裁を目指すと発言している河野デジタル相がブルームバーグTVのインタビューで「円は安すぎる。日銀に利上げを要請」と発言したことで円相場は一段と円高になっています。河野氏の発言で???という日本人サイドの印象もありますが、まず英語で海外に向けて報道されたことで、海外勢が先行して円買いを仕掛けたと見られています。加えてトランプ元大統領がブルームバーグのインタビューに対し円安に懸念を示したことでダメ押しとなり、円相場は155円まで急落しています。それだけではなく、ウォラーFRB理事が早期利下げ方針を示すなど、一気にドルに対するネガティブな報道が矢継ぎ早だったことで一段のドルの押し下げに傾きました。

 日銀の円安抑制のための積極的な介入、またユーロへの口先介入という史上初の試みを行い、さらに日銀への政策転換要請発言、そしてトランプ大統領が現実味になったことで、コロナ禍から続いてきた長期超円安相場の終焉が見えてきたような印象です。

 過去の相場を見ても6-7月は円安のピークを付けることが多かった局面(ドル円2000年代前半の円キャリーピークは2007年6月、アベノミクスの円安ピークは2015年6月、かつてのユーロ円史上最高値は2008年7月、英ポンドも2007年8月に251円の高値を付けて円安が終了し、アベノミクスの時はドルと同じく15年6月に195円アッパーでピークアウト)ですから、季節的にもそうなりやすい時期です。また月半ばですが、今の時点でNZドル円は月足で最高値で陰線つつみ足です。このNZドル円の月足を見ると、陰線つつみ足は出現しやすい傾向ですからダマシも多いですが、今回は2007年の高値を抜いた99円乗せの最高値で陰線つつみ足ですから、これは見逃せません。月末に向けて引き続き注視です。

 今回相場もこの夏場の時期に円キャリー終焉となるのか。長期円安地合いの解消とまではまだ言えませんが、円安の水準訂正はされると考えます。目先は過去2度高値を付けた151円台が下値の目途か。

※当コラムは、木曜日発行の会員向けレポートより一部抜粋しました。

 

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