金融市場の歴史に残る激しい株式市場の暴落が一旦落ち着き、為替相場も同様に落ち着きを取り戻しています。7月31日の日銀利上げと、その後の植田総裁による継続的な利上げ示唆発言から円高に火が付き、8月2日の米7月雇用統計が悪化したことで米景気後退観測が強まったことでリスクオフと進み、週明けの8月5日はまさにブラックマンデーでした。円高は一時141円台まで進み、その過程においてはチャートや節目など全く関係ありません。過去のショック安でも繰り返された「売りが売りを呼ぶ」下げ相場で、ドル円は7月2日につけた161円の直近最高値から1カ月で20円の下落となりました。その後は内田副総裁による「金融資本市場が不安定な状況で利上げをすることは無い」という植田発言の修正も功を奏し、一旦は落ち着きを取り戻し、ドル円相場も一時147円まで急伸、現在は145円前後で推移しています。
この夏相場とドル円はどのような動きがあるのか、過去の円安局面と振り返って月足の動きを見てみると、前回2015年6月につけた円安ピークが125.85、その年の8月月足は陰線。ただこの時の円高局面は翌16年6月に98.65で短期間で終了。その前、2007年の円安ピーク124.10から2011年のボトム75.57迄2008年を除き8月はすべて月足陰線。2002年の円安ピーク135.15から2005年のボトム101.65迄8月はすべて月足陰線となっており、過去20年の円安ピークからの円高局面を振り返ってみると、8月は2008年の1回を除き月足陰線になっていました。今回は7月に大陰線になっており、8月の始値は149.91ですから、急反発があればクリアして陽転の可能性もありますが、月末にジャクソンホール会合を控えており、アメリカの利下げ時期をうかがう展開になっていることから考えると、イメージは下で戻り売りスタンスです。
とはいえ、円安相場のトレンドフォローのスイングと違い、高金利になった通貨のショートは支払いスワップを念頭にする必要がありますから、ある程度の値幅を取らない限りスワップ支払いに泣かされますので、今は動きが荒いということも踏まえてスキャルやデイトレで1日内のトレードに終始することを強くお勧めします。
※当コラムは、木曜日発行の会員向けレポートより一部抜粋しました。
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