政治余波は各国選挙に及ばず、あまり金融市場で大きく材料視されることのなかった欧州議会選挙が今年は大荒れとなり、ユーロが対ドル、対ポンドで大きく下げて窓開けとなりました。対ドルは12日の米CPIが軟調だったことで大きくドル売りに傾斜し、窓埋めとなりましたが、対ポンドでは窓が開いたままです。とはいえ、ポンドも買い材料になるものがないため、窓埋めを狙ったポジションは取りづらいですね。選挙を経ての利下げが確実視されていますが、その前に仏が30年ぶりの解散総選挙となりましたので、ユーロの先安不安のほうが台頭しそうです。
仏は6月30日に第1回投票、7月7日に第2回投票で結果が判明しますが、その7日は東京都知事選挙。直前7月4日は英総選挙と重要選挙が目白押しの7月になりました。仏は2012年の大統領選挙以降非常に知名度の高いルペン氏率いる極右の国民連合が欧州議会選挙で議席を伸ばしたことから、今回マクロン大統領が総選挙を決めましたが、仏総選挙でも与党大敗となると政権運営が非常に不透明になります。加えて仏は7月26日にパリ五輪が開幕と近々で注目度も政治的な行動も高まるスケジュールが詰まったことになりました。
欧州議会選挙ではドイツも与党が大敗を喫しました。ドイツもフランスも、そして欧州全般で中道左派が大敗を喫し、極右政党が躍進となりました。欧州圏のけん引役だった独仏の政治が揺らぐ中、ユーロを買いづらい状況です。
さて金融政策に目を向けると、注目度の高かった日銀金融政策決定会合が14日行われました。日経は直前に日銀が国債買い入れ額の減額を決定する見込みであると報じていましたが、結果は減額するが詳細は7月の会合で決めるというもので、減額するけど今ではないという事前に報じられた内容ほどではない結果でした。公表直後からドル円は急騰して158円台まで上昇。介入して円安を食い止めているけれども、日銀主導で円安が進むという最近懸念となる展開です。とはいえ、7月以降は買い入れ縮小=テーパリングの道筋が決まっていく見込みです。各国ともテーパリングに入っていますが、日本も2013年4月からの大規模緩和からの脱却として遅かれ早かれ進められていくものになると思われます。
※当コラムは、木曜日発行の会員向けレポートより一部抜粋しました。
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