先週20日のNY時間に米財務省が半期に一度の為替報告書(2023年12月までの為替動向から判断)を公表しました。その中で日本円について監視対象としたことが注目され、ドル円相場は「米財務省が監視対象にしているからうかつに介入できないのではないか」という思惑を背景に再びドル円相場は上昇し、6月28日には161.27まで上昇し前回高値を更新しています。今回の為替報告書は昨年までの動向を前提にしていることから、今年の4月29日、5月2日の史上最大規模の為替介入は加味されていません。ただ、介入を容認しているわけではないことから、さらなる介入に懐疑的であるという思惑があるものの、高値更新のドル円相場に対して本邦財務省からもけん制発言が出ていますが、高値をじりじりと切り上げていくことになると、介入せずと判断され一段高になる可能性も。神経質な展開が続きそうです。
また為替介入の実行者として連日報じられてきた国際部門トップの神田財務官は7月31日付で退任し、後任は三村国際局長が昇格となる人事が発表になりました。
また勢いがついているが、豪ドルです。先般RBAが追加利上げ期待を含ませて以降堅調な動きになっており、さらに26日に公表された5月のCPIが予想3.8%を上回る4.0%になったことで、追加利上げ期待がさらに強まり豪ドル買いを後押ししています。豪は22年10月から四半期だけではなく月次のCPIを公表していますが、その月次を見ると、2023年12月から24年2月まで3カ月続いた月次3.4%を底に反転し、5月で4.0%と一気に急伸しました。最大の注目は四半期GDPと基調インフレ率の変化ですので、それを判断しての政策変更という道筋が想定されています。4-6月のCPI公表は7月31日、8月の会合は8月5-6日に行われますので、現時点では8月会合での25bp追加利上げ観測が高まっています。対円では2007年11月につけた107.79が史上最高値ですからあとわずかですが、円キャリー地合いが続いていますから、一段高の期待を持って見ています。
さて、いよいよ選挙イヤーの後半戦が始まります。まずは6月30日の仏下院選挙の1回目投票、そして7月4日に英総選挙、7月7日は仏下院選挙の決選投票&東京都知事選挙です。週末にかけてはまずユーロポジションに注意してください。ユーロドル、ユーロ円は週明けに窓を開ける動きになる可能性もありますし、選挙は水物なうえに週末をはさむわけですからホールドは勧めません。選挙結果を受けた「政治不安」の高まりが金融市場全体にリスクオフを呼ぶ可能性もある週ですから、基本はポジションを軽めに下げたところで買う通貨は限定的です。豪ドルの押し目があれば買いという目線で選挙の動静に注意してください。
※当コラムは、木曜日発行の会員向けレポートより一部抜粋・修正しました。
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