選挙波乱から政策金利動向へ2024.06.07

 2024年の選挙イヤー、最大の山場が11月の米大統領選挙ですが、その前に世界各国で多くの総選挙が行われており、直近も3つの新興国の選挙で相場が大きく荒れました。

 5月29日南アフリカ総選挙。結果、アパルトヘイト撤廃から30年で初の与党過半数割れ。連立協議へ。交渉相手は白人中心の第2党、ズマ前大統領率いる第3党を含む5政党と協議しているが政治の空白・不透明感でランドは下げ、5月の高値から直近まで5%強の下落。

 6月2日メキシコ総選挙。結果、与党3党が勝利し、初の女性大統領の誕生となったが、場当たり的なインフラ投資や国有企業優遇など現政権の流れを踏襲するというスタンスから、財政悪化への警戒感が広がり、投票後は株・為替・債券のトリプル安となる。ペソは安値を付けて一旦持ち直しているが、選挙をトリガーにしてメキシコペソの潮目が変わったという印象が拭えない。

 6月4日インド総選挙。結果、与党過半数との第一報でインド株は史上最高値を付けるも、結果を見ると過半数割れでモディ政権の求心力低下が浮き彫りになる。インド株は一転して一時8%を超える急落、為替・債券も同様に上昇から一転急落に。

 以上のように、事前に想定されていた以上に選挙結果が出てからの不安感による相場の反応が「キツイ」印象です。また世界的に「左派」の動きが強いことも念頭に今後を見ていく必要がありそうです。

 続いての金融市場の焦点は政策金利です。6月は毎年大きな変更が出やすい時期と言われますが、早速5日にカナダ中銀が4年3カ月ぶりに25bpの引き下げを決定し、政策金利を4.75%としました。G7初の利下げとなり、トルドー政権は利下げ歓迎を示しました。そして当レポートを書いている6月6日はECBの利下げが確実視されており(結果:25bp引き下げ、政策金利は4.25%へ)、来週12日にはFOMC、そして14日には日銀の金融政策決定会合が行われます。FOMCは特段の政策変更は見込まれませんが、同日にCPI発表があり、それによって年内利下げについてのニュアンスが声明に盛り込まれる可能性を注視しています。そして何より日銀です。最大規模の市場介入(9兆7885億円)を行い円安を食い止めようとしている当局に対し、円安についてブレた発言を繰り返すと揶揄された植田総裁は、5月7日に官邸に呼ばれて以降、円安抑制姿勢についてがらり雰囲気を変えたといわれています。12日の米CPIでインフレ継続が確認され、アメリカの利下げ遠退くという流れになった場合は、日銀は動かざるを得ないかもしれない。逆にインフレ低下でドル売りの動きとなればまた様子見となるか、そうした角度で来週注目していきたいと思います。

※当コラムは、木曜日発行の会員向けレポートより一部抜粋しました。

 

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