7月31日に公表された日銀金融政策決定会合の結果は事前予想通りの国債買い入れ枠の縮小に加え、3月にマイナス金利を解除して以来2回目の利上げ決定がサプライズとなりました。利上げが情報ベンダーで報じられたのは12時57分と非常に遅く、コロナ禍のETF買入拡大を決めた2020年3月の前倒し開催会合を除けば、2018年7月のフォワードガイダンス導入決定の13時3分以来の遅い発表時刻になりました。
ドル円相場は発表前まで152円前後でじりじりとした動きになっており、発表後は一瞬151円ミドル迄突っ込んだ後反発して153円まで回復していました。ところが植田総裁の会見が始まり「引き続き金利を上げていくという考えでいる。その際に0.5%は壁として意識していない」などと発言したことで円が急騰し、円相場は148.51迄下落しました。この148.50前後というのは、23年12月安値と直近最高値161.94の61.8%戻しの水準であり、23年1月安値127.21と高値の38.2%戻しの水準ともなり、二重に一度止められやすい戻りの目安です。執筆している現在は一旦ここで止まって反発しています。ただこの148.50前後を完全に割り込むと次は3月安値の146.48、そして145円を目指した動きになるかもしれません。ただ、急激な円高なので一旦戻りがあるとは思いますが、トレンドが大きく転換したことには変わりません。まだ円安相場は変わらずとも、その円安の水準は低下していきます。
過去の円安相場を見てみると、前回はアベノミクスの高値125.85からピークアウトして1年間で98.65迄下がる局面がありました。この時は高値から21%下げていますが、例えば今回の高値から21%下げた水準を想定すると128円です。現実的な水準で決して遠くない。ただそこまで下げるのにどの程度の時間を掛けるかという点がポイントになると思います。
その意味で、次の大きな渦になるのは「9月のFOMCで利下げが選択肢になる可能性がある」とした米金融政策の方向性です。前回の当コーナーでも書きましたが、9月のFOMC(9/17-18)で政策変更をするかどうかを示す意味で、8月のジャクソンホール会合はヒントを求めて非常に注目度が高くなりますし、その内容を予想する形で相場も上下波乱含みになると念頭においてください。
※当コラムは、木曜日発行の会員向けレポートより一部抜粋・追記しました。
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