値ごろ感で触るなキケン2024.07.26

 先週の当コラムで円安の水準訂正がなされ、目先の下値の目途は151円と書きました。レポート発行後は一時的にドルが買い戻される場面もあり、下値までは時間を要するかもしれない印象を持っていましたが、マーケットは一気にリスクオフムードが台頭しドル円相場は今月初旬に直近最高値の161.94までつけていたのが、一気に152円台まで10円近く値を消してきました。その後ずるっと151円台94銭まで下落して、見事に2022年10月と2023年11月につけた151円台の高値が強い下値のサポートとなり、その後反発して現在153円台まで回復しています。当初の当コラムには151円まで下げたときに反発するか、そのまま割り込むかで見方が変わると書いておきましたが、そのサポートでしっかり反発してきましたので、まずはこの下値が非常に強力な抵抗ラインとなったことが確認されました。ここを割り込むには再度数回のトライが見られるかもしれません。再度下値を模索するかどうか、直近では来週の日銀会合、FOMCを控えて動きを見極めるタイミングになるかと思います。

 日銀金融政策決定会合は7月30-31日の開催で、結果の公表は31日の正午前後になります。7月24日の欧州時間からNY時間にかけてドル円、クロス円が一段安で大崩れになったきっかけはロイターが外電で報じた「日銀は来週利上げを検討する」という内容をトリガーにしたものでした。現実的には資産買い入れ枠の更なる縮小とタカ派なコメントで利上げ期待を高めるだけで終わるのではないかという見込みですが、物価高抑制・個人消費のサポートという点で政府サイドからの利上げ要求が非常に強く、利上げが絶対に無いとは言えない。注目度の高い会合になります。

 さらに翌日にはFOMCがあります。こちらは据え置きの公算が高く、FEDが行動を起こす前には8月のジャクソンホール会合でのパウエル議長講演で何かしらのメッセージを出してからの行動ではないかという見込みが大半です。9月のFOMCは9月17-18日、そしてその前の週10日には米大統領候補の討論会が予定されています。こうしたスケジュールを見ると、今年の秋相場は8月後半から一気に突入していきそうです。

 クロス円はユーロ、カナダドル、スイスフラン、豪ドル、NZドルが週足で陰線つつみ足となっていましたが、その後総じて下げています。下落が目立つNZドルは2カ月半かけて上昇した分を2週間で吐き出し、さらに90円割れ目前というかつての英ポンドをほうふつとさせるような荒っぽい動きです。堅調だった豪ドルも110円間近で急ブレーキ、直近で100円割れ目前です。

 現状では来週の日米の金融政策の方向性を見るまで非常にボラティリティの高い相場が続きます。10円下げたような通貨が目白押しですが、今回の動きが今後最高値で天井打ちと確認されるようであれば、10円下げなど大したものではなく更なる続落の可能性が高まります。値ごろ感でちょっと欲を出さないように静観しておくことをお勧めします。

※当コラムは、木曜日発行の会員向けレポートより一部抜粋・追記しました。

 

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